電波強度とは - RSSI・RSRP・SINRなど主要指標を正しく理解する
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スマートフォンやルーターなどで見る電波マークは一見シンプルに見えますが、実際の通信状況を正確に示しているとは限りません。IoT分野においては、通信を確立するだけでなく、通信品質を正しく把握することが非常に重要です。テルトニカでは、高性能な産業用ネットワーク機器だけでなく、それを最大限に活用するための知識やノウハウの提供にも力を入れています。今回はデバイスの電波強度を正しく把握する方法をご紹介します。まずは、モバイル信号の各種指標について理解を深めましょう。

通信の信号強度は、ルーターの性能、通信キャリア、そして周囲の環境によって大きく左右されます。たとえRSSIが−68 dBmという強い数値を示していても、必ずしも快適な通信が保証されるわけではありません。なぜなら、基地局の混雑状況や天候、基地局からの距離といったさまざまな要因も、通信品質に大きく影響するためです。だからこそ、私たちは単一の指標や電波表示だけに頼ることはありません。
テルトニカでは、RSSI、RSRP、RSRQ、SINR という4つの指標を組み合わせることで、通信品質を包括的にとらえています。全体像を把握してこそ、通信パフォーマンスを正しく理解し適切に管理することが可能になります。プロフェッショナルにとって重要なのは「正確さ」です。ここからは世代別に詳しく見ていきましょう。
2Gの場合 - RSSIによるレベル計測
2Gネットワークでは、受信信号強度インジケーター(RSSI) が主な指標として使われます。この値は、基地局からモデムに届くモバイル信号の強さを示します。
RUTデバイスで2Gの信号強度を確認するには、ルーターのWebUIにログインし、
Status(ステータス) → Network(ネットワーク) → Mobile(モバイル)
に進んでください。
デバイスがRMSに登録済み、かつオンラインの状態であれば、RMS内のWebUIアイコンをクリックして、遠隔でインターフェースを起動できます。
RSSIはおおまかな電波状況を把握するには役立ちますが、信号の品質までは反映しません。dBmとはミリワット単位の電力を示す指標で、通信分野では信号強度を評価する際によく使われます。それでも、2G環境で作業する際には、RSSIが最も基本的な参照指標となります。
安定した2G通信を実現するには、可能な限り−70 dBm以上の強度を目指しましょう。お持ちの機器の電波強度を確認するには、下のタブをご覧ください。

3Gの場合 - RSSI、Ec/Io、RSCPの組み合わせ
3Gネットワークでは、RSSI、Ec/Io、RSCP の3つの指標を使用します。RSSIは2G同様、電波の強さを示しますが、Ec/Io は信号品質を表し、周囲の干渉を測定します。RSCP はネットワークで処理された後の信号強度を示します。
RUTデバイスの3G信号強度を確認するには、WebUIの
Status(ステータス) → Network(ネットワーク) → Mobile(モバイル)
へ進んでください。
デバイスがRMSに登録済み、かつオンラインの状態であれば、RMS内のWebUIアイコンをクリックして、遠隔でインターフェースを起動できます。
3Gの通信を最適化するにはRSSIだけでなく、RSCPが高く、Ec/Ioが良好な状態であることが重要です。これにより、低遅延で安定した高速通信が実現できます。お持ちの機器の電波強度を確認するには、下のタブをご覧ください。

4Gおよび5Gネットワークでは、電波の強さと品質を評価するために、4つの主要な指標を使用します。
RSSI(受信信号強度インジケーター)は、4G・5Gの総合的な電波強度を示しますが、ノイズも含まれています。RSRP(基準信号受信電力)は、通信に必要な有効信号の強さを表します。RSRQ(基準信号受信品質)は、信号の「きれいさ」を示し、3GにおけるEc/Ioと同様の役割を果たします。
SINR(信号対干渉+ノイズ比)は、信号と干渉との比率を示し、数値が高いほどインターネット接続は高速になり安定します。RUTデバイスの4G/5G信号強度を確認するには、WebUIの
Status(ステータス) → Network(ネットワーク) → Mobile(モバイル)
へ進んでください。
デバイスがRMSに登録済み、かつオンラインの状態であれば、RMS内のWebUIアイコンをクリックして、遠隔でインターフェースを起動できます。
(例)
使用中の4G/5Gルーターが次のような数値を示しているとします。
- RSSI:−68 dBm
- RSRP:−56 dBm
- RSRQ:−16 dB
- SINR:−1.8 dB
一見するとRSSIは良好に見えるかもしれませんが、SINRやRSRQの値からは信号品質が低いことがわかります。このような状態は、基地局との距離が遠い場合や、建物などによる電波干渉が原因となっている可能性があります。このケースの全体の接続状況は、下図となります。

その他の信号品質確認方法
ルーターLED:前面パネルのSignal Strength LED(信号強度LED)をご確認ください。スマートフォンのようにバーの数でRSSIの強度を示します。
コマンドラインインターフェース(CLI):通信品質をより詳しく診断したい場合は、CLIを使用して gsmctl コマンドを実行します。CLIへアクセスするには、System (システム)→ Maintenance(メンテナンス) → CLI へ進んでください。gsmctlコマンドはルーターのモデムと直接通信し、ATコマンドに変換して送信します。そして生の信号情報を取得し、ユーザーが読みやすい形式で表示します。この方法は自動化、リモート監視、またはWebUIが使用できない環境(ヘッドレス環境)での信号確認に最適です。
CLIへのアクセス手順
System (システム)→ Maintenance(メンテナンス) → CLI
へ進んでください。
すると下図のような画面が表示されます。初期設定では、デフォルトの管理者ユーザー名「root」とルーターの管理パスワードでログインします。

ログイン後、以下のコマンドを入力してください。
gsmctl -q
実行すると、現在の電波強度および通信品質に関する詳細な情報の一覧表が表示されます。
信号品質の理解が重要な理由
RSSI信号強度のdBm値を理解することは、単なる技術知識ではなく、長期的に安定した運用の要となります。信号の途切れや干渉、速度低下は運用全体の成否を左右するからです。
テルトニカ製品では、WebUIやRMS(リモート・マネジメント・システム)を通じて、これらの指標を簡単に監視できます。デスクにいながら最適な信号強度を確認でき、現場ではリアルタイムのフィードバックをもとに最適な設置調整が可能です。
信号品質を改善するための一般的なポイント

✔️ルーターおよびアンテナは、できるだけ電波の強い場所かつ障害物の少ない場所に設置してください。一般的には、窓際や高い位置が最適です。壁が厚い場所や樹木、建物など、電波を遮る物の近くは避けましょう。
✔️ルーターのアンテナ接続がしっかりと固定されているか確認してください。接続が緩んでいると、信号品質が大きく低下する原因になります。
✔️設置場所やハードウェアを最適化しても通信状態が改善されない場合は、その地域でより電波カバーの良い通信キャリアへの変更を検討するのも有効です。
信号強度の重要性
スマートシティから産業オートメーションまで ― あらゆる場面での安定した通信確立は正しい信号指標の理解から始まります。
RSSIをはじめとする各種指標の意味を正しく知ることで、適切な判断ができ、システムの性能を最大限に引き出すことができるでしょう。
このようにテルトニカは、ハードウェアだけではなく、あらゆる通信の成功を支えるノウハウとツールをみなさまにご提供します。次のプロジェクトの準備ができたら、ぜひ「お問い合わせ」ボタンからご連絡ください。私たちがお手伝いします。