海外事例から読み解く「スマート農業」に必要なネットワーク通信を4G LTEルーターで実現する方法
弥生時代に始まったとされる日本の農業。2000年以上の時を経た現在、農業は「スマート化」の時代へと突入しました。様々機器やシステム、テクノロジーを使用するスマート農業には信頼性の高いネットワーク通信が必須です。今回はこの課題をどのように解決できるのか、探っていきます。
テクノロジーの進化は、農業のやり方を根底から変え始めています。一般的に「スマート農業」と呼ばれるこのコンセプトを今一番必要としている国は日本ではないでしょうか?それには大きく分けてふたつの理由があります。「食料のインフレ」と「少子高齢化における労働力不足」です。
2022年~23年にかけて、私たちは「ついに値上げ」というフレーズを何度も耳にすることになりました。あのマクドナルドが「100円マック」で有名なプレミアムローストコーヒーを値上げ。2005年の発売以来はじめて100円を超え、120円になりました。今年3月には、和洋菓子大手のシャトレーゼも150商品の値上げに踏み切っています。
帝国データバンクによると、2023年に入ってから7月までの間の食品値上げは3万品目を突破し、過去最大級の値上げラッシュになりました。これには、昨今の異常気象による食料の供給不足やコロナ後の需要増加による原材料価格の高騰、ロシアのウクライナ侵攻の長期化による天然ガス/石油価格の高騰、急激な円安による輸入コストの増加など様々な要因が複雑にからんでいます。どれも短期的に解決する課題ではないため、この食料インフレは長期化すると考えるほうが自然かもしれません。
食品の原材料や輸送にかかるコストを抑えるため、原材料をできるだけ国内での生産に切り替えていく、という流れになるのは自然なことといえるでしょう。
しかし、この流れに水を差しているのが日本の少子高齢化、およびそれにともなう労働力不足です。実際に日本の農業従事者数は、2015年~2023年の8年間で約65万人減少しており、さらにそれら従事者の高齢化も懸念されています。また、これにより耕作放棄地の増加も問題となってきているのです。この課題を解決するために必要なのが「スマート農業」だといえるでしょう。
スマート農業とは何か
スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用し、省力化・精密化や高品質生産を実現する等を推進している新たな農業のことです。アグリテック(AgriTech)や、アグテック(AgTech)という呼び方をすることもあります。例えば下記はスマート農業の一例です。
●農地の各場所にセンサーを設置し、天候/土壌/作物の生育具合などデータを取得しクラウドに送信。これらのデータを分析することで、効率的な農業の方法を計画する精密農業
●IoTセンサーを使って、ビニールハウスの照明/温度/湿度/土壌の状態等のリアルタイム情報を得、さらにこの情報を分析し自動的にハウス内の環境を調節できる、ビニールハウス農業の自動化
●広範囲の植え付け/農薬散布/作物の監視やデータ取得などを人間の労働力をたくさん必要とする分野を一手にまかせされる農業用ドローン
●人間の手を借りずに、種まき/除草/水やり/収穫などができる自動トラックや収穫機などのロボット機械
今や、スマート農業は様々なビジネス形態をとり世界中で一大産業となりつつあります。例えば、アメリカでは、イチゴ収穫ロボットのサブスクリプションサービスが始まっています。コロラド州に本社をおくトゥルーガ社は、ロボットによるイチゴ収穫サービス一箱の価格設定を人間の労働力を使った場合の人件費と同程度に設定しました。ロボットは休憩もいらず、一日中働くことが可能です。このような具体例をみても、スマート農業が労働力不足の解消に役立つ技術であることがわかります。
スマート農業技術を取り入れるには、ニーズに応じた様々な機械/機器およびテクノロジーが必要です。それらの機器をつなぐ安心・安全なネックワーク技術(コネクティビティ)が大変重要になってきます。広範囲に広がるすべての要素をインターネットで正確につなぐことができなければ、どんなに高度なソリューションを導入したとしても問題解決にならないからです。
スマート農業に使える安心・安全なコネクティビティ
テルトニカ・ネットワークスは、様々なスマート農業ソリューションに安心・安全なコネクティビティを提供しています。例えば、オランダを拠点とする農業用噴霧機メーカー「Agrifac」社のソリューションには、当社の産業用4G LTEルーター「RUT955」を組み込みました。自動化噴霧機を安定的に作動させるのには、信頼性の高いコネクティビティが必須です。しかし広大な農場において、安定したインターネット接続環境を整えるのは、容易なことではありません。
「RUT955」には堅牢なLTE Cat 4コネクティビティおよび信頼性を高めるデュアルSIM機能が搭載されているほか、移動をともなう機器にとってたいへん重要な「GNSS(GPS)」機能を使用することも可能です。この事例の詳細については、こちらまたは下記右図のトポロジをクリックしてごらんください。
さらに、当社の接続デバイスを使用してサスティナブルな農業を可能にした事例もあります。オランダの「Greenbox Farm」社は、古い輸送用コンテナに様々なシステムを組み込んで、食物栽培用の「農地」として使用するコンテナ・ファームを運用する企業です。
このケースでは、当社の4G LTEルーター「RUT241」をスイッチに繋ぎ、さらにPLC/HMI/カメラ/投薬システム/灌漑システム/換気システム/空調制御ユニットなど、作物の成長に必要なあらゆるシステムをそのスイッチに接続しました。こうして、気候制御システムやクラウドベースの作物管理ソフトウェアなどの先進技術を駆使して、作物を正確かつ効率的に栽培することができるコンテナ・ファーム(農地)を運営することができるようになったのです。この事例の詳細については、こちらまたは下記右図のトポロジをクリックしてごらんください。
安定的な食物の供給は、人間が生きる上でもっとも大切なことです。様々な外的要因により農業従事者および農地が減少し、このニーズが脅かされているいま、スマート農業がこの課題にとって明るい兆しとなっています。テルトニカ・ネットワークスは信頼性のあるネットワーク通信(コネクティビティ)をご提供することで、スマート農業をサポートしていきたいと考えております。