イーサネットスイッチに秘められた力に迫る
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IoTデバイスがあふれるネットワーク業界にも、キラリと光る製品があるものです。先日、テルトニカ・ネットワークスは当社初となるマネージドスイッチ「TSW202」および「TSW212」をリリースいたしました。そこで、今回のテーマは「産業用イーサネットスイッチ」。スイッチの活用方法やマネージドスイッチ/アンマネージドスイッチに焦点をあて、その類似点および違いについても深堀りいたします。
「ネットワークスイッチとは何だろう?」―こんな疑問をお持ちかもしれません。調べてみると、世の中には本当にさまざまなのタイプのスイッチがあるものです。スイッチとは、一言でいえばIoTソリューションにネットワーク接続を搭載するための接続デバイスです。とくに流通しているのはインターフェイスにイーサネットポートを持つタイプでしょう。
イーサネットスイッチは実際に、そして比喩的な意味においても「美しい」デバイスです。様々なタイプのイーサネットスイッチが、多様な接続ソリューションのニーズに対して独自のよさを発揮しています。一般的にこれらスイッチはイーサネットケーブルで、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)インフラのエンドポイントを介し、ミッション・クリティカルなデータを伝送することができるため、有線ネットワーク接続に不可欠なものとなります。
産業用イーサネットスイッチは非常に汎用性が高く、製造/ロジスティクス/オートメーションなどさまざまな分野で使用されています。しかし、それぞれのソリューションに適したスイッチを選ぶには、具体的かつ明確な要件定義が必須です。スイッチの種類は多岐にわたりますが、あえて大きく分けると、管理型(マネージド)と非管理型(アンマネージド)の二つに分類されます。
マネージドスイッチもアンマネージドスイッチも、信頼性の高いネットワーク接続を実現するために使用されるものです。しかし、要件はもっと深堀りしなければなりません。
アンマネージドスイッチが最も輝く場所は?
アンマネージドスイッチはデバイスの統合において、とてもシンプルな形で使用されます。プラグ・アンド・プレイ(差し込めばすぐに使えるタイプ)のイーサネットスイッチなので、設定やコンフィギュレーションいらず。主にエンドポイント間のネットワーク接続とデータ伝送という機能を果たします。
アンマネージドスイッチはシンプルなアプリケーションなので、取り扱う際にネットワークに関する特別な専門知識は必要ありません。よって、より多くのユーザー様に簡単にご利用いただけます。比較的低価格ですし、たいていマネージドスイッチよりも消費電力が少ないため、導入費用と運用コストの削減にもなります。
また、当社テルトニカ・ネットワークスのアンマネージドスイッチ「TSW100」もそうなのですが、イーサネットスイッチには、PoE+(Power over ethernet)技術が搭載されているものもあり、この場合は電源ケーブル配線の手間を考える必要がありません。そのため、アンマネージドPoE+スイッチを使用すれば、ソリューションの導入コストをさらに削減することができます。
産業環境はたいていの場合、極端な温度、振動、湿度などに耐えなければいけない厳しいものになります。そのため、イーサネットスイッチの物理的な特性については、耐久性を考慮に入れることが重要です。テルトニカ・ネットワークスのアンマネージドスイッチがすべてアルミニウム筐体を使用しているように、産業用スイッチは産業環境の課題を解決できるように設計されます。
またイーサネットスイッチは、当社のアンマネージドスイッチ「TSW114」、「TSW200」、「TSW304」などと同様に、DINレール取付け機能を内蔵しています。この機能により利便性が向上するだけでなく、(スペースが限られた環境であっても)一旦設置されたデバイスが1センチたりともずれることなく、安定した状態を保つことができます。
アンマネージドスイッチの実践的な使用
前述したアンマネージドスイッチの特徴はすべて、導入中/導入後のシンプルさと使いやすさがキモとなるネットワーク・ソリューションへの利用において、非常に便利です。そのよい事例が「産業システムの信頼性の高いコネクティビティ」です。
この事例においては、テルトニカ・ネットワークスのアンマネージド・スイッチ「TSW114」を複数個、イーサネット・ポートを介して製造ラインに接続することで、各エンドポイント間でデータ配信できる中断のないネットワークインフラを構築しています。
1台のアンマネージド・スイッチだけで、PLC、HMI、センサーなど、ライン上にある様々なデバイスが、帯域幅最大10Gbpsの広帯域幅データ伝送の恩恵を受けることができるのです。
しかし、ネットワーク管理をしっかりカスタマイズ/制御する必要があるケースでは、アンマネージドスイッチは最適な選択肢とはいえません。そんな時に満を持して登場するのがマネージドスイッチです。ここから「マネージドスイッチ VSアンマネージドスイッチ」の対決がはじまります。
マネージドスイッチによる制御
マネージドスイッチを使えば、ネットワークインフラの各ポイントをより広範囲に制御し、リーチできる範囲を広げることができます。これらのイーサネットスイッチ(マネージド)は初期設定が必要な場合が多いため、取り扱う際にある程度のネットワーク専門知識が求められるという側面があります。しかし、複雑なソリューションを手掛ける際に、マネージドスイッチが果たす役割は大変重要なものになるのです。
このマネージド・ネットワークスイッチで、きめ細かな管理と監視を実現することができます。ネットワークインフラ全体の可視性を高め、高度なネットワーク制御機能でコネクティビティを最大限にサポートすることができるのです。このように、さまざまな機能がある中で、下記では基本的なものについてご説明いたします。
ポート管理
テルトニカ・ネットワークスの「TSW202」や「TSW212」のようなマネージドスイッチには、包括的なスイッチ設定機能のためのオペレーティング・システム(OS)である「TSWOS」が搭載されています。これによって具体的には速度制御、ポートミラーリング、分離などのポート管理ができます。また、このきめ細やかな管理機能によって、各ポートの動作を特定のニーズに合わせて調整することができます。
例えば、効率的なデータ転送用の高速転送をする必要がないセンサーに、マネージドスイッチを接続したとしましょう。この場合、マネージドスイッチのポートが持つ帯域幅を制限するように設定できます。データ損失が心配で冗長性が欲しい場合はどうすればよいでしょうか。
追加ポートを設定して、データをミラーリングすることができます。また、特定のデータへのセキュリティを強化したい場合は、特定のポートをネットワークインフラの残りの部分から隔離し、他のデバイスがアクセスできないようにします。
VLANとQoS
マネージドスイッチのもう1つの優れた点は、VLANとQoS(Quality of Service)を設定するオプションがあることです。この2つの機能は、ネットワーク・ソリューション内のデータ・フローのセグメンテーション/最適化/整理に非常に重要です。
VLANは、ネットワークインフラのセキュリティ強化をしたい企業で頻繁に使用されています。VLANはあるVLANのデバイスが別のVLANのデバイスにアクセスできないように、各ネットワークのユーザーを分離します。このような分離は、デバイスがよく機密情報をあつかう場合に不可欠です。
QoSには様々な機能がありますが、最も重要なものはポートの優先順位でしょう。この機能により、特定のポートから送信されるデータの重要度に基づいて、どのポートの優先度を高めるか設定することができます。これで、ネットワークの混雑時などにデータ転送の順序を決定できます。
PoE+対応のマネージドスイッチ
前述のアンマネージドPoE+スイッチに加えて、マネージド・スイッチの中にもPoE+対応のものがあります。「マネージド」スイッチなのですから、配電の制御機能もさらに期待できるのではないでしょうか。
当社の「TSW202」のようなマネージドPoE+スイッチは、接続されたデバイスへの配電を集中管理します。これは大変便利なだけでなく、エンドデバイスが故障したり電源が切れたりした場合にも役に立ちます。マネージドPoE+スイッチの場合、TSWOSを介して簡単に再起動できるからです。
マネージドスイッチのリモート・モニタリング
マネージドスイッチは、当社のRMS(リモート・マネジメント・システム)のようなIoT管理プラットフォームと互換性があるため、世界中のどこからでもリモートで再起動することができます。
イーサネットスイッチへの遠隔アクセスには、トラブルシューティングの実行、調整や設定、ネットワークの障害発生時の迅速な対応が可能になるという異次元な強みがあります。また、ネットワーク・ソリューションの効率性を確保する必要がある場合の遠隔モニタリングにも最適です。
マネージド・スイッチの実践的な使用
さまざまな形/サイズで展開されているマネージドスイッチですが、テルトニカ・ネットワークスの「TSW202」と「TSW212」はその中でも特に優れています。当社の事例から、両製品が産業環境用としてどのように優れており、それぞれのアプリケーションにどのようなベネフィットをもたらしたのかをご覧いただけます。
「スマート物流倉庫用のマネージドPoE+スイッチ」の事例では、物流センターで「TSW202」を使用し各エンドデバイスに電力を供給しながら、どのようにセンター全体を1つのシステムに統合したかを紹介しています。「優れた自動車製造精度を実現するマネージドスイッチ」の事例においては、「TSW212」がサポートする広範な産業用プロトコルが、最高のデータ伝送速度をどのように実現し、ダウンタイムが許されない製造ラインの効率化にどのように寄与したかを深く掘り下げています。
結論として
結論、クライアント様が持つソリューションへの固有のニーズおよび「好み」によってイーサネットスイッチを選ぶのが大切です。マネージドスイッチとアンマネージドスイッチを比較することは大切なことですが、まとめるとこのようなシンプルな結論にいきつくのです。プラグアンドプレイでシンプルなソリューションであれば、アンマネージドスイッチで十分です。ネットワーク・ソリューションに、より高度な制御と監視機能が必要な場合は、マネージドスイッチを使用するのが最適です。クライアント様のニーズに合わせてお選びください!