概要
✔ 今回は、電気システム工学/調達/プロジェクト管理に特化した技術的な専門知識を、さまざまな産業に提供しているルーマニアの「Watt Unit」社に関する事例です。
✔ 「Watt Unit」社は、メドジディア市(ルーマニア)の水道インフラ改修プロジェクトにおいてSCADAシステムを導入するために、高信頼性/安全なインターネット接続を提供できる産業用LTEルーターを探していました。
✔ 最終的にはテルトニカのLTEルーター「RUT951」をお選びいただき、これを当社のネットワークスイッチ「TSW010 」と共にソリューションに導入しました。このルーターには中断なき接続を維持し、遠隔監視、広範で柔軟なサポートが可能な通信プロトコルおよびインターフェース機能が搭載されています。
課題 ― 新しいインフラ設置
水道インフラの改善は非常に複雑なプロジェクトです。そこでルーマニアの大手地域水道事業者である「Raja」社は、メドジディア市の水道インフラ改善プロジェクトの電気関連業務をすべて「Watt Unit」社に依頼しました。
このプロジェクトの目的は、すべてのメドジディア市民を配水ネットワークに接続し、高品質な飲料水サービスへのアクセスを改善し継続的な運営を確保するとともに、水の損失を削減することでした。
具体的には、四つの井戸の既存設備の交換/SCADA(監視制御およびデータ収集)システム基盤の構築/水のパラメータ測定のための現地センサーの追加が必要でした。ここで収集されたデータは無線でSCADA制御センターに送信され、リアルタイムで監視・分析されることになります。
もちろん、このようなIoTによるリモート監視機能には信頼性の高いインターネット接続が必要であり、これをどのように実現するかが課題となります。井戸は悪天候の影響を受けやすい地域にあり、GPRS信号も弱く、機器の設置には大変不便な仕様となっていました。
そのため、こうした過酷な環境下でも高信頼性インターネット接続を維持するためには、入念に計画されたネットワークインフラが必要です。そしてこのソリューションにおいて、遠隔監視ネットワークのインフラの中核となる重要なデバイスが「モバイルルーター」でした。
ソリューション ― SCADA接続用のネットワーク構築
「Watt Unit」社は、メドジディア市における水道インフラのSCADAシステム用に、テルトニカの産業用LTEルーター「RUT951」を採用しました。この4G LTEルーターは、このネットワークソリューションに必要なさまざまなエンドデバイス/プロトコル/重要な機能の中心となる接続デバイスとなりました。以下、詳細に解説します。
一方の端には、水位/流量測定/圧力用にオンサイト・センサーが設置されています。これらセンサーをRJ45ポートで、テルトニカのネットワーク・スイッチ「TSW010」 に接続します。「TSW010」は、センサーを接続したネットワークを集中管理することで、効率的なネットワーク・マネジメントを実現します。
次に別のRJ45を介して、このネットワーク・スイッチ「TSW010」を産業用LTEルーター「RUT951」に接続します。このルーターはセンサーからのデータを収集し、無線ネットワークでSCADAシステムへ送信します。
そして、この無線送信がIoTの本領発揮となるポイントです。
このLTEルーター「RUT951」はデータのセキュリティを強化するためのVPNやファイアウォール機能を搭載し、GNSS Wi-Fi SMAアンテナと組み合わせることでさらに能力が向上します。OPC UAプロトコルを介してSCADAシステムとのスムーズな通信ができ、Modbus TCPおよびModbus RTUでセカンダリパネルとの通信も可能です。
さらに、LTEルーター「RUT951」に搭載されたデュアルSIM機能により、自動フェイルオーバーやバックアップWANなどの切替シナリオを利用して、ネットワークの冗長性と中断なきLTE Cat 4接続を確保することができます。
これにより将来デバイスをさらに追加する場合や、リモート運用等への適応が可能になります。またこの産業用LTEルーター「RUT951」は頑丈なアルミニウム製筐体に収納され、動作温度はー40°C~75°Cまで対応可能、大変耐久性の高い製品となっています。
「RUT951」は、「Watt Unit」社がこのSCADAシステム・ネットワークソリューションを実行するうえで中心的な役割を果たしました。LTEルーター「RUT951」とネットワーク・スイッチ「TSW010」の掛け合わせによって、メドジディア市における水道インフラの近代化に不可欠な高信頼性ネットワーク接続、先進的なリモート監視機能、そしてデータ保護を確立することができました。
この事例で使われた製品
RUT9514G LTE (Cat 4), 3G, 2G
自動フェイルオーバー、バックアックWAN、その他のスイッチシナリオ付き
ホットスポット機能付きのワイヤレス・アクセス・ポイント
バックアップ接続への自動切換が可能