概要
アメリカでは、通勤に片道26分かかる人が年間で費やす時間はおよそ9日分に相当します。90分かかる人に至っては、なんと1か月以上を通勤に費やしていることになります。通勤は同じ時間帯に集中するため、深刻な交通渋滞が起こり結果的に移動時間が長くなりがちです。
課題
交通渋滞の緩和には、都市設計の見直しが欠かせません。しかし、都市の拡大や新たなビジネスエリアの開発により、従来の道路・信号インフラでは十分に対応しきれなくなるケースがあります。一般的な信号機では、交通状況に応じた柔軟な制御ができず、タイマー設定が不適切な場合には、かえって渋滞を助長する原因となることもあります。
リアルタイムのデータが取得できなければ、信号機の正確な設定作業は極めて困難です。すべての信号機を手動で設定・調整するとなると膨大な人員・時間が必要で、運用も複雑化してしまいます。現実的な解決策とはいえないでしょう。
この課題を解決するのが、今回の事例で取り上げる「M.K. Traffic Technical Solutions 」社です。同社はキプロス共和国初の「MOVA(Microprocessor Optimised Vehicle Actuation:信号制御システム)」を導入するプロジェクトを受注しました。信号の設置場所は、島内でも特に交通量の多いロータリー交差点です。このシステムの初期調整には製造メーカーのエンジニアによる作業が必要だったのですが、当時流行した新型コロナウイルスによる渡航制限でエンジニアが現地入りできなくなり、納期遵守が大きな問題となっていました。
パートナー紹介
「M.K. Traffic Technical Solutions」社はキプロス共和国を拠点とする、交通工学および交通安全分野の専門企業です。2005年の設立以来、当初はキプロス共和国の地方自治体や公共事業局向けに交通制御機器を提供していましたが、現在では、交通監視・制御システム(ITS:高度道路交通システム)や駐車管理システム、重量監視システム、交通安全機器の設置・保守サービスへと事業を拡大しています。
ソリューション
納期の厳守が求められるなか、「M.K. Traffic Technical Solutions」社は、既存のソリューションにテルトニカの通信機器を新たに組み込むことで構成を見直しました。産業用LTEルーター「RUT241」を導入し、エンジニアが海外にいながらシステムの調整作業を遠隔で行えるよう、リモート接続環境を構築したのです。
まず、LTEルーター「RUT241」でこのIoTソリューションにインターネット接続を確立しました。交通信号コントローラーをイーサネットケーブルでルーターに接続し、さらにPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)で、すべての信号機やセンサーと連携します。これで路面に設置されたループコイルからのデータをもとに、PLCが青信号の点灯時間を動的に制御します。
このソリューションを支えるもうひとつの重要な要素が、テルトニカの「RMS(リモート・マネジメント・システム)」です。「RMS Management」機能により、「RUT241」の温度監視、ファームウェアのアップデート、アラートの設定といった管理作業がリモートで可能になります。また、将来的に他のテルトニカ製デバイスを追加する場合も、パブリックIP不要で柔軟に一括管理できる拡張性を備えているのも特徴です。
さらに、「RMS Connect」機能を活用すれば、テルトニカ製品に限らず他社製機器へのアクセスも可能です。まるで現地にいるかのように、接続機器の各種設定を遠隔で操作できます。今回のプロジェクトでも、エンジニアは物理的に現場へ赴くことなく、PLCの設定を安全かつ確実にリモートで実施することができました。
導入メリット
- 産業用LTEルーター「RUT241」はコンパクトな設計で4G接続に対応しており、制御盤内への組み込みが容易です。
- 高温や振動の多い過酷な環境でも高い安定性を発揮。実際、夏場には本体温度が78℃に達しても正常に動作しました。
- 「RMS Connect」により、スマートデバイスへのリモートアクセス、設定変更、データ抽出が可能です。
- 「RMS Management」を活用すれば、テルトニカ製デバイスをパブリックIP不要で集中管理することが可能です。
テルトニカが選ばれた理由
テルトニカは、交通をはじめとする多様な分野において、柔軟で信頼性の高いソリューションを提供してきた実績があります。「M.K. Traffic Solutions」社からは以下のような言葉をいただきました。
「テルトニカとの協業を通じて、製品採用時に必要となる支援をしっかりと提供してくれる企業であるという信頼感を得られました。実際にサポートが必要になった際にも、常に寄り添ってくれました」
この取り組みにより、テルトニカはキプロスの交通分野における通信インフラの新たな可能性を切り拓きました。「M.K. Traffic Technical Solutions」社と、今後のプロジェクトにおいても連携を深めていく予定です。
この事例で使われた製品
RMSReach and control all compatible Teltonika Networks devices even if they don’t have Public IP
Access any smart devices via HTTP/HTTPS or SSH & configure them using WebUI or CLI as if you are in front of them
Control laptops, desktop, industrial computers and other devices running Windows or Linux via RDP or VNC – remotely
Set-up secure VPN tunnels to unlimited number of endpoints with just a few clicks! An excellent choice for remote PLC and machinery access.