RutOSパッケージマネージャーでさらに充実のIoTソリューションを実現
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テルトニカのオペレーティング・システムであるRutOSには幅広い追加機能があり、当社のネットワークデバイスにダウンロードできるパッケージマネージャーサービスを使って、これらの機能のご利用が可能です。この記事では、IoTソリューションをさらに充実させることができる、人気のパッケージをご紹介します!
テルトニカのネットワークデバイスは、「ハードウェア」およびオペレーティング・システムである「RutOS」という二つの要素から成りたちます。当社がRutOSに組み込んだ機能のほとんどは、当社のネットワークデバイスの大部分と互換性がありますが、ストレージの制限により、すべての機能をデバイスに収容できるとは限りません。
そのためRutOSには、パッケージ・マネージャー・サービスという、IoTソリューションの可能性を広げるための機能があるのです。
選べる機能
このパッケージ・マネージャー・サービスは、例えるとホテルのビュッフェのようなもので、「好きなものを選ぶ」ことができるサービスです。全部の機能をダウンロードする必要はなく、欲しい機能だけを含んだ追加システム拡張のラインナップをご提供します。
モバイル接続の強化や、M2M通信を可能にしたり、TailscaleやZeroTierのような追加のVPNをインストールしたいなど特定のご要望があれば、ぜひパッケージ・マネージャーをご利用ください。
パッケージ・マネージャーの開封
パッケージ・マネージャー・サービスは、アプリケーション、モバイル接続、システム、産業用パッケージを中心としたさまざまな拡張機能をご提供いたします。これらのパッケージのいずれかをインストールし、RutOS上で機能を設定して活用することができます。50種類以上のパッケージから選択することが可能なのですが、ここでは特に当社のお客様の間で人気のパッケージをご紹介いたします。
SNMP
SNMP(Simple Network Management Protocolの略)は、IPアドレスで接続したネットワークデバイスを監視し、ネットワーク障害を検出するために使用されるインターネット標準プロトコルです。
SNMPはリソースへの要求が少なくシンプルなのが特徴で、最小限のオーバーヘッド、簡単な実装、拡張性でエンドポイントからデータを抽出するのに役立ちます。そのためご利用のIoTソリューションにおいて、専門知識なしで継続的なチェックや迅速なデータ転送が必要な場合は、SNMPプロトコルのご利用がおすすめです。
SIMアイドル・プロテクション
テルトニカのネットワークデバイスでデュアルSIMカードスロットを搭載した製品は通常、モバイル接続からネットワーク接続を受信するように設定されています。そのため当然ながら、これを簡単に制御する方法へのニーズもあるはずです。
これを強化するために、SIMスイッチ機能と連動するように設計されたSIMアイドル・プロテクション・パッケージを導入しました。
SIMアイドル・プロテクションを使用すると、モバイルルーターは定期的にセカンダリSIMカードに切り替え、断続的にモバイルネットワークとの接続を確立することを可能にします。これにより、アイドル状態とSIMカードがブロックされることを防ぎ、お客様のIoTソリューションが常にいずれかのSIMカードから確実な接続を維持できるようにします。
Azure IoT Hub
Azure IoT Hubは中央メッセージハブとして機能し、Microsoft Azureクラウドプラットフォームを介してIoTアプリケーションと接続デバイス間の通信を容易にします。
Azure IoT Hubは、リアルタイムのデータ収集、リモート監視、エンドポイントとクラウド間のセキュアな通信を実現するためにご利用いただけます。これらの機能からAzure IoT Hubは特に、ヘルスケア、サプライチェーン、オートメーション、スマートシティ業界等でのIoTソリューションで使用されるケースが多いパッケージです。
これに関連して特筆すべきは、RutOSの最新バージョンであるバージョン7.08が、IoTソリューションのリモート監視・制御機能の強化に焦点を当てた大幅なアップグレードを実施したことです!詳細に関してはこちらの記事をご覧ください。
TravelMate
TravelMateは、Wi-Fiホットスポットへの接続を容易にするために、テルトニカのルーター用に特別に設計されたパッケージで、特にキャプティブポータルを扱う場合に便利です。これを利用することで、モバイルルーターがホットスポット経由でインターネットにアクセスし、ネットワーク上の複数のデバイスと接続を共有することができます。
LANデバイス一台だけでホットスポット認証を処理できるため、ネットワーク・インフラ全体におけるインターネットへのアクセスが大幅に簡素化されます。
Tailscale VPN
Tailscale VPNは、RutOSのバージョン7.06で導入されて以降、お客様の間で大変人気のパッケージとなっております。
このプロトコルは、ネットワークを安全に管理するための使いやすさが高く評価されており、エンタープライズ業界での導入に非常に適しています。
Tailscale VPNの導入に関して、VPNに関する特別な専門知識は必要なく、パッケージ・マネージャー・サービスからダウンロード後最小限の設定のみで実行できます。特筆すべき点は、エンド・ツー・エンドのデータ暗号化とゼロ・トラスト・セキュリティ・モデルを備えた安全性の高いVPNであることです。
PAM
セキュリティ愛好家にとって便利なツールである特権アクセス管理(PAM)を使用すれば、RADIUSまたはTACACS+を使用して、ネットワーク・デバイスのWebUIとSSHに接続することができます。この統合により監査を改善し、デバイスのアクセス制御を一元化し、また承認されたユーザーのみにデバイスへのアクセスを許可することで、IoTソリューションのセキュリティが強化されます。
BACnet
BACnetパッケージは、さまざまなオートメーション・デバイス間のデータ伝送を革新する方法として、お客様から大きな関心を集めています。
BACnetとは、Building Automation and Control Networksの頭文字をとったものです。これはM2M通信プロトコルで、デバイスのメーカーに関わらず異なるネットワーク上の異なるIoTデバイス間の相互作用を可能にするように設計されています。
このプロトコルを使用することで、テルトニカのネットワーク・デバイスがBACnetルーターとして機能し、複数のネットワーク間の通信を促進することができます。また、異なるIPサブネット間のBACnetブロードキャスト・メッセージのルーティングを管理するBBMD(BACnet Broadcast Management Devices)としても動作します。
さらにBACnetは運用コストを削減するとともに、暗号化や機器認証などの機能を使って、接続されたシステムや機器の安全性を高めることもできます。RutOS上での設定が非常に簡単なため、非常に人気のプロトコルとなっています。
NTRIP
BACnetプロトコルと同様にRutOSのバージョン7.03から登場したNTRIPは、位置情報サービスに焦点を当てたものとなっています。NTRIPはNetworked Transport of RTCM via Internet Protocolの 略で、テルトニカのネットワークデバイスはNTRIPによって、RTK対応受信機とNTRIPサーバー間でRTK補正データ中継することが可能になります。
このプロトコルパッケージは、位置精度が重要視される産業でのIoTソリューションに最適です。農業のように、自動化と位置精度が業務効率の向上につながる分野、などに適しているといえるでしょう。
代表的なものとして、「農業用トラクター用5Gルーターによるスマート農業」の事例をご紹介します。この事例においては、テルトニカの5Gルーター「RUTM50」で、自律走行農業用トラクターにコネクティビティを搭載し、RTKレシーバー内蔵のメインコントローラーとNTRIPサーバー間でRTK補正データを送信するためにNTRIPを使用しています。
DNP3
DNP3はDistributed Network Protocol 3の略で、プロセス・オートメーション・システムのデータ収集と制御機器間で使用される通信プロトコルのセットです。IoTソリューション、特にユーティリティ分野で広く採用されているDNP3は、便利なデータ交換のために幅広いデータタイプをサポートしています。
テルトニカのネットワークデバイスは、DNP3ステーションおよびアウトステーションエンティティとして機能します。DNP3ステーションの役割においてはデータ収集、メモリへの保存、事前に定義された時間間隔に基づいてクラウドサーバーまたは他のデバイスに送信する等の作業を行います。DNP3アウトステーションとしての役割においては、デバイスのステータスや接続など、デバイス自身に関する情報を提供します。
DNP3はすでに広く普及しているプロトコルです。皆さまが使い慣れているこのプロコトルをRutOSインフラストラクチャに組み込むことで、安心してご利用いただけるものと考えております。
パッケージをダウンロードをご希望ですか?
パッケージ・マネジャー・サービスのご利用方法をご紹介するにあたり、まずは利用可能なパッケージ数がご利用のネットワークデバイスによって異なることにご留意ください。例えば、5Gルーター「RUTM50」とモバイルルーター「RUT241」ではパッケージ数や選択が異なる場合があります。
パッケージマネージャは、RutOSのメニュー「システム(System)」セクションにあります。パッケージマネージャのメインページにパッケージのリストが表示されており、それぞれのパッケージの説明およびインストールのためのオプションも記載されています。また、右上の隅にある検索バーにインストールしたいパッケージ名を入力、検索することも可能です。
各ネットワークデバイスのメモリ容量やお好みに応じて、ひとつから複数のパッケージまでダウンロードできます。パッケージをインストールした後、RutOSアップデートでそのパッケージの新バージョンが利用可能になった場合、このページから直接パッケージを更新することもできます。
また特筆すべき機能として、オフラインでパッケージをインストールできることが挙げられます。右上にある「パッケージのアップロード(Upload Package)」を押して、パッケージを手動でアップロードできます。モバイルルーター「RUTX11」用のパッケージなど、各デバイスに特化したパッケージはテルトニカの「Wikiナレッジベース」や「パッケージリポジトリ」で見つけることができます。これらは「パッケージマネージャー(Package Manager)」ウィンドウの「パッケージのアップロード(Upload package)」または「パッケージリポジトリを表示(View package repository)」をクリックしてアクセスできます。
さらに、パッケージを復元することもできます。これにより、各IoTソリューションに搭載された各ルトニカのデバイスにインストールされたすべてのパッケージが、ファームウェアアップグレードのたびに再ダウンロードされ、以前のすべての設定が保持されるためそのままお使いいただけます。
詳細について
テルトニカのWikiナレッジベースでは、幅広いネットワークデバイスとパッケージの設定例を含む、パッケージ・マネジャーに関する詳細情報をご確認いただけます。ぜひご利用のデバイスを最高のパッケージで強化しましょう!