意外と知られていない「セルラーモデム」の魅力
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私たちの生活に欠かせないネットワーク通信。スムーズに通信するためにネットワークデバイスは非常に重要です。個人のインターネット使用から産業用IoTアプリケーションに至るまで、ネットワーク上での多様なデータ伝送を担うこれらのネットワークデバイスについて、包括的にご説明いたします。
さまざまなネットワーク・デバイス
世の中にはあふれる様々なコネクテッド・デバイスには、家電製品やネットワーク間の通信を促進し、データ・情報・信号の交換をする、という共通の機能があります。
とはいえ、それぞれの接続機器には似て非なる違いがあります。例えばゲートウェイ、ルーター、モデムには機能的に似通っている部分と、大きく違う部分があるのです。
通常、ゲートウェイに搭載されているインターフェースは一つです。というわけで、この場合インターネットに接続することができるエンドデバイスは一つのみとなります。例えば、当社の産業用ゲートウェイ「TRB143」はM-Busインターフェースを備えており、地域の暖房システムに関するソリューションに最適です。エンドクライアントは、暖房システム一台につき一台のデバイスのみで、遠隔操作で自動的にデータを収集し省エネ効率を上げると共に、システム集積化とコスト削減ができます。
産業用ゲートウェイ「TRB142」についても同様にインターフェースはひとつです。RS232シリアル・インターフェースを装備しており、スマート・エネルギー・システムに関するソリューションに最適です。
一方、ルーターは複数のインターフェースを通じて、複数のエンドデバイスにインターネット接続を提供することができます。帯域外管理をアップグレードしている場合は、当社のLTEルーター「RUT956」がおすすめです。LTE Cat 4接続、およびネットワーク信頼性機能とリモート・マネジメントにより、接続速度の低さを解消することができます。
セルラーモデムとは
ルーターやゲートウェイとは異なり、セルラーモデムにはインターネット接続を容易にするという一つの機能しかありません。
「モデム」という用語は、「変調器-復調器」の略です。モデムは、コンピュータからのデジタル信号を、アナログ通信回線上で伝送に適したアナログ信号に変換することにより変調します。また、受信したアナログ信号を受信デバイスが理解できるデジタル信号に戻す反転プロセスにより、復調も行うことができます。
ルーターやゲートウェイは「モデム」ではありません。一般的に「モデムルーター一体型」という用語は、各ルーターとゲートウェイにモデムが内蔵されているという意味なのですが、これは正確な表現とはいえません。実際には、ルーターはすべて「モデムルーター一体型」だからです。
同時に一部のルーターには、内部に複数のLTEモデムが内臓されています。例えば、当社の産業用LTEルーター「RUTX12」は、リアルタイムでデュアルLTE Cat 6接続が可能なモデムを二つ内蔵しています。また、瞬時に切り替え可能なフェイルオーバー機能も備えております。
モデムにはデータ保護ソフトウェアやファイアウォールがありません。さらに、モデムはATコマンドによって制御されます。ATコマンドとはダイヤル、SMS機能の管理、接続のパラメーター変更等の操作用にコマンドを生成するために組み合わせることができる、短いテキスト文字列のセットです。
モデムの役目は、A地点からB地点へ、データを変更せずに送信すること、それのみです。モデムは接続先デバイスの助けなくして接続を確立することはできません。つまり、ネットワーク制御機能を持たないネットワーク通信のためのデバイス、といえるでしょう。モデムの最大の利点は寿命がながく、および低消費電力であることです。
モデム使用に適したケース
ルーターやゲートウェイの代替としてモデムを活用できるケースがあります。これを見極めることで、コスト削減が可能です。テルトニカ・ネットワークスでは現在、製品ラインナップに「TRM240」と「TRM250」という二つのモデム製品をご用意しております。
当社の4G LTEモデム「TRM240」および「TRM250」はコンパクトかつ設置が簡単で、USBインターフェイス装備、という利点があります。これに加えて、LTE Cat 1接続が可能で、高品質を維持しながらお手頃な価格を実現いたしました。
セルラーモデムは、他のネットワークデバイス、特にゲートウェイやルーターよりも搭載機能が少ないという特徴があります。しかし、低価格でコスト効率が良いため、ネットワークデバイスの代わりにモデムを使用できるケースにおいてはモデムの利用をご検討いただくことができます。
産業環境においてネットワーク制御を必要としないケースがあります。例えば、コーヒーマシンの操作です。この場合、コーヒーマシンを有線データ接続を介して、当社のセルラーモデム「TRM250」に接続します。さらにこのモデムを4G LTEでワイヤレス接続することで、サービスセンターがデータにアクセスできるようになります。このタイプの設定においてはネットワーク制御が不要であり、セルラーモデムを使用してネットワークの課題を解決できます。
また別の例として、支払い端末をインターネットに接続するために当社のセルラーモデム「TRM250」を使用することもできます。この場合、支払い端末を有線データ接続でセルラーモデムに接続し、そのモデムをワイヤレスでインターネットに接続することで、支払い端末にネットワーク接続を装備します。
さらにモデムは、ショッピングモールへの入退場など、特定のエリアにおいて通過する人々の数を数える、人数カウンターシステムにも使用できます。これらのシステムを稼働させるには、継続的なネットワーク通信が必須です。そこで当社のセルラーモデム「TRM240」を使用します。「TRM240」を有線で人数カウンターに接続し、さらにワイヤレスでインターネットに接続します。
当社の「TRM」シリーズ「TRM240」および「TRM250」のネットワークデバイスは互いに非常に似ていますが、鍵となる違いがあります。セルラーモデム「TRM240」は、コスト効率の良いネットワーク通信でレガシーIoT機器のアップグレードに適しており、セルラーモデム「TRM250」は、リモート監視アプリケーションにおいてコスト効率の良いインターネット接続に最適です。これらの違いは、後方互換性によります。「TRM240」は3Gを対応、「TRM250」は2GとNB-IoT対応となっています。
御社の産業用ソリューションにモデムが必要な場合には、当社の「TRM」シリーズのデバイスをお選びいただければまず間違いありません!これをご利用いただくことで、IoTの可能性を大きく広げることができます。