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5Gによる製造業のデジタル化

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May 4, 2023

産業用IoTと先進的な分析を組み合わせた5Gネットワークは、製造業のプロセス最適化やコスト削減、また生産性向上のための新しい機会を創出しています。製造業のさまざまな分野が5Gネットワークの使用に向けて成熟し、一部はすでにその恩恵を受けている中、5Gデジタル化の内実を理解することは非常に重要だといえるでしょう。 

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先日、テルトニカ・ネットワークスではこのトピックについて、エリクソン社と共同でウェビナーを開催致しました。当社のオペレーショナル・マーケティング・プロジェクト・エグゼクティブであるプラナス・アクサミタウスカスと、エリクソン社のデバイス・エコシステム・ディレクターであるミカエル・ヘルマンソン氏によって、「製造業における4Gネットワークの限界と5Gネットワークの急速な普及」についてのディスカッションが行われました。


このウェビナーは録画のご視聴が可能ですが、内容の詳細についてはこの記事のつづきでも解説させていただきます。

製造業における4Gネットワークの限界

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ヘルマンソン氏がウェビナー内で述べたとおり、自動化、リモート機能、スループット、セキュリティ強化といった分野において高まる業界の需要に対して、4Gでの対応は限界を迎えています。そこで5Gデジタル化の必要性が叫ばれるようになりました。これらの需要に応えるために、ネットワークは三つの基本要素を実現する必要があります。

 

1. 信頼性の高い低遅延


製造業では信頼性の高い低遅延が重要です。わずかな遅延が生産性の低下やコストの増加、また効率の低下につながるからです。例えば組立ラインでは、製品仕様や生産データの転送が遅れると、ボトルネックやダウンタイムが発生し企業にとって大きな損失となる可能性があります。


逆に低遅延で信頼性の高いネットワークがあれば、データの転送が迅速かつ効率的に実行できると同時に、遅延やダウンタイムを最小限に抑えることができます。これにより、製造業社は装置を最大限に稼働させることができ、生産性が向上します。


2. 最大限のカバレッジ


製造業では機械やシステムが広範囲にわたって配置されることが多いため、最大限のカバレッジが非常に重要になります。機械やシステムがすべて、配置場所にかかわらずネットワークにしっかり接続できなければなりません。これは、遠隔地で生産プロセスを監視・制御し、機械やシステムを効率的に運用するために不可欠な要素であるといえるでしょう。


さらに製造業においてデータ収集や分析に使用される、タブレットやスマートフォンなどのモバイル・デバイスをサポートする上でも、最大カバレッジは重要です。最大限のカバレッジを持つネットワークによって、従業員が施設内のどこからでもネットワーク接続することが可能になり、業務効率が向上するのです。


3. 安全かつ柔軟なネットワーク


製造業では知的財産、製品仕様、顧客データなど、機密情報を日常的に取り扱うことになります。このような重要情報を保護するためには、安全なネットワークが不可欠でしょう。安全なネットワークのおかげで不正アクセス、データ漏洩、サイバー攻撃などを防ぐことができます。これらは企業の評判や財務的安定性、さらには法的責任に関して大きく影響を与えるといえるでしょう。


また、製造業では生産プロセスや要件が変化することが一般的であり、それに対応するためには柔軟なネットワークが不可欠です。これにより需要、生産能力、ワークフローの変化に適応し、市場の状況や顧客のニーズへの迅速な対応が可能となります。


4Gネットワークで上記の三要素を部分的に満たすことは可能です。しかし、4Gは現代の製造業における工場や施設で増大しつづける需要に対応できるようには設計されていません。帯域幅が限られており遅延が大きいため、ネットワークの混雑も発生しやすくなっています。結果として接続の切断や、データ転送速度の遅延が発生し、生産性と効率に大きな影響を与える可能性が高まっています。

 

 5Gデジタル化が製造業にもたらす変化

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5Gデジタル化とは、5Gネットワークとデジタル技術を活用して産業やビジネスを変革するプロセスを指します。AI、機械学習、IoT、クラウドコンピューティング、エッジコンピューティングなどの高度なデジタル技術を利用して、新しいアプリケーションやサービスを実現していくことになるでしょう。


4Gが増大する自動化、リモート機能、スループット、セキュリティ強化等の需要に対応できなくなった場合、5Gは上記で述べた三つの主要要素に対して何ができるのでしょうか?

 

1. 信頼性の高い低遅延


5Gデジタル化では、エッジ・コンピューティングやネットワーク・スライシングといった技術を用いることで、信頼性の高い低遅延を実現できます。エッジ・コンピューティングとは、データ処理をソースに近い場所で行うこと。これによりデータがネットワーク上を移動する時間を短縮できます。またネットワーク・スライシングとは、特定のアプリケーションやユーザー向けに専用のネットワーク・スライスを作成し、各スライスが低遅延に適したサービス品質(QoS)パラメータを確保することを指します。


例えば工場の組立ラインでは、エッジ・コンピューティングとネットワーク・スライシングを使用することで、機械とシステム間の遅延を短縮し、全体的な生産性と効率性を向上させることができます。


2. 最大限のカバレッジ


5Gのデジタル化では、小型セルやMassive MIMO(マッシブ・マイモ)などの技術を利用して、最大限のカバレッジを実現することができます。小型セルは、低電力で短距離の無線アクセス・ポイント。製造施設内のあらゆる場所に設置することで、従来のセルラー基地局が届かないエリアでもカバレッジを確保することができます。Massive MIMO(マッシブ・マイモ)は、複数のアンテナを使って信号を送受信する技術で、カバレージと容量を向上させることが可能になります。


例えば、大規模な製造施設では、小型セルを施設内に設置することで、従来のセルラー基地局が届かないエリアでもネットワークをカバーすることができます。また、生産ラインや倉庫など、ネットワークのトラフィックが多い場所では、Massive MIMO(マッシブ・マイモ)を使用してカバレッジと容量を向上させることが可能です。


3. 安全で柔軟なネットワーク


5Gのデジタル化による仮想化技術とネットワーク・スライシング技術を使用して、安全で柔軟なネットワークを構築することができます。ネットワーク・スライシングは、特定のアプリケーションやユーザーに合わせた仮想ネットワークを作成することで、高いセキュリティと柔軟性を実現できます。


例えば製造業では、特定の生産ライン専用のネットワーク・スライスを作成し、独自のQoSパラメーターとセキュリティプロトコルを設定することができます。これにより、機密性の高い生産データを確実に保護するとともに、ネットワークへの変更を迅速かつ容易に行うことができるようになるのです。


さらに仮想化により、複数の仮想ネットワークを同じ物理インフラ上で動作させたり、リソースの利用率を向上させ、コストを削減することができます。これにより、安全で柔軟なだけではなく、費用対効果も高いネットワークを構築することができるのです。

 

5Gを活用した製造業においての事例

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テルトニカ・ネットワークスは、特にインダストリー4.0に関わる製造業のIIoT事例を多く保有しています。エリクソン社とのウェビナーで、当社のアクサミタウスカスから5Gが製造業にどのように役立つかを示す事例を二つを紹介させていただきました。


1. 水平ボーリングおよびフライス装置の接続性


一つ目の事例は、水平ボーリングやフライス盤を製造している当社のクライアント様からのものです。これらの機械には、当社のTRB500 5G産業用ゲートウェイが搭載されており、リモートでの制御とサポート機能が可能です。これにより、技術担当者が機械から物理的に離れていても、複数の機械を一度に管理/サポートすることができます。

これは、4Gネットワークが提供できるソリューションよりはるかに効率的だといえます。TRB500の5Gネットワークによって可能になった低遅延、ダウンタイムの短縮、信頼性の向上、リアルタイム通信などの機能が、時間と運用コストの大幅な節約につながることを証明する事例となりました。


2. スマート工場のコネクティビティ


二つ目の事例は、より複雑なケースです。自動化されたIoTソリューションでは、機械や設備がすべてひとつのシステムに接続されます。そのため、製造プロセスの効率や生産量だけでなく、規模の拡大にも対応しなければなりません。より多くの接続デバイスを接続し、自動化の規模を拡大する必要があります。

このような自律的なシステムは、4Gの通信速度で機能させることはできません。しかし、5Gネットワークは4Gと比べて、最大100倍のデータ転送速度を確保することができます。これにより、スマート製造デバイスのリアルタイム相互通信が可能となり、より迅速な意思決定と応答が可能に。5Gネットワークの低遅延性により、製造プロセスをより正確かつ効率的に制御することができるのと同時に、5Gネットワークの容量により接続デバイスと製造オペレーションの規模を拡大することができました。

この事例においては、当社のゲートウェイTRB500が自律走行車などの移動体への接続を可能にしました。さらに組立ラインのロボットアームなど、システムの静止部分への接続は当社産業用5GルーターRUX50が使用されました。

まとめ

5G技術によって、デバイスや機械間通信の高速化と信頼性の向上だけではなく、製造プロセスのリアルタイムな連携と制御や生産性と効率の向上などを実現し、製造プロセスのデジタル化を可能にできることがわかりました。製造業において5Gネットワークを活用することで、業務を最適化を実施するとともにコストを削減し、急速に変化するビジネス環境において競争力を維持することができます。5Gによるデジタル化をご検討の際は、ぜひテルトニカ・ネットワークスにお問い合わせくださいませ。

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