「ネットマスク」とはなにか - ネットワーク・サブネットに関するガイド-
IoTおよびネットワーク構築の世界において、「ネットマスク」の概念および使用法を理解しておくのは大変重要です。ネットワークアドレスを効率的に管理/整理するために不可欠な知識だからです。今回の記事を読めば、どのような方でも「ネットマスク」について、また「ネットマスク」でどのように効率的なネットワーク管理ができるのか、理解を深めることができます。
「ネットマスク」とは何か?
「ネットマスク」はIPアドレッシング(各ホストにIPアドレスを割り当てる方法)の基本要素となります。IPアドレスは基本的に、ネットワークアドレスとホストアドレスという二つの異なる部分にわかれています。「ネットマスク」は、この二つの異なる部分がどこで分離しているのかを示すフィルタ機能である、といえるでしょう。「ネットマスク」を定義することで、IPアドレスのどの部分がネットワークを表し、どの部分がネットワーク内のデバイスを識別するかを判断することができるのです。
ネットマスクは通常、ドットデシマル表記で表される32ビットで構成され、IPアドレスと密接に関係しています。下記の画像の例をご覧ください。
ちなみに「ネットマスク」の関連用語として「サブネットマスク」がありますが、これはネットワークをサブネットに分割するという文脈で「ネットマスク」を説明するために使われる般的な用語です。「ネットマスク」も「サブネットマスク」も同じ意味で使われる場合が多いです。
「ネットマスク」の仕組み
「ネットマスク」の仕組みを理解するには、IPアドレスのバイナリ表現(「0」と「1」の組み合わせ=2進法で表現されるもの)を理解することが重要です。バイナリでは、IPアドレスが32ビットで構成され、4つのオクテット(各8ビットのグループ)に分かれています。「ネットマスク」もバイナリで表現され、連続した1(1のビット)の後に連続した0(0のビット)が続きます。
IPアドレスと「ネットマスク」の間でビットごとのAND演算を行うことで、ホスト部分を効果的に「マスク」し、ネットワークアドレスだけを残すことができます。これによりネットワーク上のデバイスは、対象のIPアドレスが自分のネットワーク内にあるのか、それとも別のネットワークにルーティングする必要があるのかを判断できるようになります。
「ネットマスク」と「サブネットマスク」の計算
「ネットマスク」および「サブネットマスク」の計算は、特にネットワーク初心者にとっては大変な作業です。しかし、サブネットマスク計算機やIP計算機を使用すれば、簡単に計算ができます。これらオンラインツールは、IPアドレスと希望するサブネットまたはホストの数を入力すると、適切な「ネットマスク」または「サブネットマスク」を自動的に生成してくれます。
「ネットマスク」は、ドット付き10進数(デシマル)表記(例:255.255.255.0)やCIDR表記(例:/24)など、さまざまな表記法で表現することができます。CIDR表記は簡潔なため、最新のネットワークで広く使われるようになりました。
ネットワーク管理における「ネットマスク」の重要性
ところでなぜ「ネットマスク」の使用が推奨されているのでしょうか。アドレスの効率的な使用のため、セキュリティの強化のためそしてネットワーク管理の簡素化のため、という三つの理由があります。ひとつづつ見ていきましょう。
1. 効率的なアドレス利用
「ネットマスク」は、ネットワーク内でのIPアドレスの効率的利用に重要な役割を果たします。サブネットを慎重に設計し、適切な「ネットマスク」を割り当てることで、各サブネットが貴重なIPスペースを無駄にすることなく、デバイスを収容するのに十分なアドレスを確保することができます。
サブネットの「ネットマスク」を決めるときは、利用可能なホストアドレスの数と必要なサブネットの数のバランスを取ることが重要です。制限が厳しすぎるネットマスクを選ぶとホストアドレスが足りなくなる可能性があるのです。逆に許容度の高すぎるネットマスクを選ぶと貴重なIPアドレスが無駄になる可能性があります。
2. セキュリティの強化
「ネットマスク」を使用してネットワークをサブネットに分割することで、セキュリティを強化することができます。ネットワークアドレスに基づいてデバイスを分離することで、よりきめ細かいアクセス制御ポリシーを実装し、ネットワークトラフィックの流れを効果的に管理することができます。これにより、セキュリティリスクや潜在的な不正アクセスを軽減することができるのです。
部署やゲストネットワーク、重要なインフラストラクチャごとに個別のサブネットを作成することで、より厳格なセキュリティ対策を実施し、サブネット間のアクセスを制限することができます。「ネットマスク」に基づいたファイアウォールルールの導入/VLANの実装により、ネットワークセキュリティをさらに強化することも可能です。
3. ネットワーク管理の簡素化
「ネットマスク」でIP アドレスに基づいてデバイスを論理的にグループ化することで、ネットワーク管理簡素化されます。明確に定義されたサブネットと「ネットマスク」を使用することで、ネットワーク問題のトラブルシューティング、変更の実装、ネットワークの拡張がより整理され簡単になります。結果として運用効率の向上とダウンタイムの短縮につながるのです。
さらに、「ネットマスク」を使用することで、ルーティング・プロトコルやポリシーをより効果的に実装することができます。IPアドレスのネットワーク部分に基づいてルーティングの決定が行われるので、トラフィックがサブネット間で効率的に誘導されるようになります。
結論
「ネ ッ ト マ ス ク」 はネ ッ ト ワーキングの基本要素であり、 効率的な IP アドレス割り当て/セキュリティの強化/ネッ トワーク管理の簡素化を可能にします。「ネットマスク」が何なのか、どのように機能するのかを理解することで、ネットワークの設定や管理に関して十分な情報に基づいた意思決定を行うことができるようになります。
ネットマスク計算機やサブネットマスク計算機を利用すれば、ネットワークのニーズに合った「ネットマスク」や「サブネットマスク」を簡単に決定できます。IoT初心者であってもなくても、「ネットマスク」についてしっかり理解することは、堅牢で構造化されたネットワークを構築するために不可欠だといえるでしょう。
「ネットマスク」は、ネットワークのパフォーマンス/セキュリティ/拡張性を最適化するための強い味方です。「ネットマスク」があればネットワークアドレッシングとサブネットの複雑な状況をナビゲートし、IoT時代にネットワークを効率的かつ安全に運用できるようになるのです。