なぜ産業用 5Gルーターを導入すべき?4Gとの違いと導入メリットを徹底解説
#2025, #5g
5G対応エリアの拡大と対応端末の普及が進むなか、依然として4Gが多くの企業や組織における標準通信インフラとして使われ続けています。しかし、海外に目を向けると、オーストラリアやニュージーランド、韓国、アメリカ、ヨーロッパ諸国などでは、すでに4Gから5Gへの切り替えが本格化しており、通信機器の主役は急速に「5Gルーター」等の5G対応デバイスへとシフトしています。

2025年現在、5Gはもはや「将来的に期待される技術」ではなく、リアルタイム通信、遠隔監視、プロセスの最適化や意思決定支援、自動化・自律制御、さらには予知・予防保全など、IoTソリューションの実行を支える「今すぐ使うべきインフラ」となりつつあります。
こうした中、ネットワークを支えるルーターにおいても、5G対応ルーターへとアップグレードすることの価値を、今一度見直す時期に来ているのではないでしょうか。
3Gサービスの終了と、それに伴う通信環境の変化
現在、世界各国で通信キャリアが3Gネットワークの提供を停止し、帯域を4Gおよび5Gへと再割り当てする動きが加速しています。国内においても、2022年3月末にau(KDDI/沖縄セルラー電話)が3Gサービスを停止したを皮切りに、各社が順次サービスの終了を発表してきました。そして2026年3月末には、NTTドコモがFOMAとiモードサービスを終了予定です。これにより、日本国内の3Gに基づくモバイル通信サービスは完全に幕を下ろすことになります。
さて、この3Gサービスの終了によって、次のような2つの動きが加速するでしょう。
- 4G/5G向けの周波数帯域の拡充 :これまで3Gに使用されていた帯域が再活用されることで、ネットワーク全体の性能が向上し、より高速かつ低遅延な通信環境が実現します。
- 4Gネットワークの混雑化 : 3G非対応となった古い端末やシステムは4Gに移行せざるを得なくなり、LTEネットワークにさらなる負荷がかかることで、混雑や通信品質の低下が懸念されます。
モバイル通信に依存する企業や個人にとって、4Gルーター(ネットワーク機器)を使い続けることは、単に5Gの恩恵を享受できないというだけでなく、ネットワーク環境の変化によって通信性能そのものが劣化するリスクを抱えることにもなりかねません。
次章では、5Gルーターが実現するパフォーマンスの違いや、なぜ今アップグレードを検討すべきなのかについて、さらに詳しく解説します。

理論値を超える、5Gルーターの性能
5Gルーターは、理論上きわめて高速な通信性能を備えています。しかし、実際の通信速度はネットワークの混雑状況や通信キャリアによるインフラの構築状況などに左右されるため、常に最大の性能が発揮されるわけではありません。たとえギガビットクラスの速度に対応したデバイスであっても、利用環境によってはその能力を十分に引き出せないこともあります。とはいえ、5Gルーターを使用すれば、4G対応ルーターと比べて、現実の業務環境においてもより高い通信性能が得られる可能性は高くなります。

性能におけるLTEカテゴリの役割
5Gルーターに移行する際、バックアップとして重要になるのが「LTEのカテゴリ」です。一口に4G/LTEといっても、すべての接続が同じ性能というわけではありません。LTE(Long Term Evolution)には「カテゴリ」と呼ばれる区分があり、それぞれ通信速度や帯域幅、対応機能が異なります。
たとえば、旧LTEカテゴリであるCAT4やCAT6は通信速度が比較的低く、複数の周波数帯を束ねて通信を高速化する「キャリアアグリゲーション」機能も限定的です。そのため、ネットワークが混雑している環境では、通信速度の低下や不安定さが起きやすくなります。
テルトニカの5Gルーター(例:技適認証済み「RUTM50」)は、LTE CAT19のフォールバックに対応しています。これで5Gが使えない場所でも、旧世代LTEと比べて格段に高速かつ安定した通信を実現できます。CAT19 は複数の周波数帯を同時に利用できるため、ネットワークの混雑状況に応じて最適な帯域を選び、高速かつ安定した接続を維持します。
CAT19のフォールバック機能を備えた5Gルーターにアップグレードすることで、企業は5Gと高度なLTEのいずれの環境でも、安定かつ高水準の通信性能を確保できます。

5Gルーターに関する代表的な懸念とその実態
懸念1:「5Gルーターはコストが高すぎる」
5Gルーター導入におけるコストは、これまで多くの企業にとって大きなハードルとされてきました。確かに、5Gルーターは一部の4G製品と比べて価格が高めに感じられる場合もありますが、近年の技術進化により、ニーズに応じた選択肢は着実に広がってきています。
加えて、通信パフォーマンスの向上、信頼性、耐用年数などを総合的に見れば、5Gルーターは長期的な視点で高い費用対効果を発揮する投資といえます。初期費用の差よりも、「将来の通信要件に対応できるか」「通信品質が他社との差別化につながるか」といった中長期的な視点での判断が、今後ますます重要になるでしょう。
懸念2:「5Gルーターはまだ対応エリアが狭くて不安」
もう一つよく挙げられるのが、「5Gルーターはまだ対応エリアが限定的で実用に不安があるのでは」という懸念です。総務省によると2023年度末において、全国の5G人口カバー率は98.1%であり、整備目標を2年前倒しで達成しました。都市部はもちろん、地方でも対応エリアは着実に拡大しています。加えて、5Gの普及はキャリアネットワークだけにとどまりません。以下のような多様な展開が進んでおり、IoTインフラとしての信頼性が高まっています。
- ローカル5G: 一般企業や自治体、各種団体などが総務省に免許を申請し、企業や自治体、団体の建物や敷地内など特定範囲(狭域)限定で構築する5Gネットワーク。運用にあたっては無線局の免許が必要で、独自回線を使うため、パブリック5Gで大規模な通信トラブルが発生してもその影響を受けないことが大きなメリットです。全国で2025年度以降に本格普及し、2030年度には558億円規模の市場になると予測されています。
- プライベート5G:通信キャリアが持っているパブリック5Gの基地局を活用して、企業や自治体の敷地内などに専用のネットワークを提供するサービス。ローカル5Gとは異なり、免許も自前の基地局の設置も不要です。
さらに、ほとんどの5Gルーターは、必要に応じて4Gへのスムーズなフォールバックに対応しており、5Gが使える場所では高速通信を、未対応エリアでは4Gでの安定通信を確保できます。また、5Gルーターは長期運用を前提とした技術として設計されており、今アップグレードしておくことで、将来の進化にも柔軟に対応可能です。具体的には
- 5Gスタンドアローン型ネットワーク(SA 5G)など、今後の技術進化に対応
- AIやエッジコンピューティング、プライベート5Gなどの新たな用途に備える
- テルトニカ製5Gルーターをはじめとする高耐久デバイスは、複数世代にわたる通信環境に対応できるよう設計されており、長期的なコスト回収を実現可能
など、様々なメリットがあります。
4Gから進化した5Gルーターのメリット
5Gの魅力は、単なる「通信速度の高速化」だけにとどまりません。ネットワーク効率の向上、超低遅延、高い信頼性といった特性により、現代社会が求めるあらゆる接続ニーズに対し、より理想的なソリューションを提供します。以下に詳細をご紹介します。
- 大容量接続とネットワーク混雑の克服
5Gルーターは、同時に接続できるデバイス数が4Gを大きく上回っており、都市部や交通の要所、工場・倉庫といった産業拠点など、多数の端末が集まる環境でその強みを発揮します。
一方で、4Gネットワークは過密状態になると通信速度が著しく低下し、遅延の増大や接続断といったトラブルが頻発します。こうした状況は、ロボットや自動運転車などの先進技術だけでなく、データ通信やクラウドサービス、決済システムなど、安定した通信に依存するあらゆる業務にとって深刻な問題となり得ます。
5Gルーターはこうした課題に対応し、高密度環境下でも効率的かつ安定した通信を維持できるよう設計されています。
- 低遅延
5Gルーターは、通信の応答時間(レイテンシ)を大幅に短縮することで、遠隔監視や産業用オートメーションといったリアルタイム性が求められる用途において、より高い精度と効率を実現します。
- エネルギー効率の向上
5Gルーターは、「1ビットあたりの通信」にかかる消費電力を最小限に抑えるよう設計されており、大規模なIoT展開においても持続可能性の高い運用を支えます。
- ネットワークスライシングによる専用リソースの確保
5Gルーターでは、ネットワークの一部を仮想的に分割し、企業や自治体が重要なアプリケーション専用にリソースを確保することが可能です。これにより、ピーク時や過密状態でも、重要な業務アプリケーションが安定したパフォーマンスを発揮できます。
5G RedCap ― IoTおよび中間グレード機器の新たな選択肢
「5Gルーターは高性能だが、その分コストも高い」という印象は、長らく多くの企業にとって導入のハードルとなってきました。しかし、5G RedCap(Reduced Capability)対応ルーターの登場により、その常識は変わりつつあります。
RedCapは、フルスペック5Gと4G LTEの中間に位置する技術で、消費電力とコストを抑えながらも、5Gならではの低遅延・高効率な通信性能を実現。特に、物流、公共インフラ、産業用IoTなど、必ずしも最大速度を求めない用途において、現実的かつ費用対効果の高いソリューションとして注目されています。
5Gルーターはもはや、ハイエンド用途に限定されるものではありません。RedCapの登場によって、より幅広い接続ニーズに対応する柔軟な選択肢へと進化しています。
なお、テルトニカではRedCap対応モデルとして「RUT271」「RUT976」などが展開されており、これらはフルスピードの5Gを必要としない中間グレードの用途に理想的な製品です。現時点では日本国内での展開はございませんが、ニーズに応じて柔軟にご用意可能です。ご要望があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。今後の展開に向けても準備を進めております。

5Gルーターならテルトニカ
数ある5Gルーターの中でも、安定性・柔軟性・コストパフォーマンスを兼ね備えた製品として、テルトニカの技適承認済み「RUTM50」はグローバルで高い評価を得ています。業務用途に必要な堅牢性と先進の通信性能を備え、すでに世界中においてさまざまな業界での導入が進んでいます。ここでは、その代表的な事例をご紹介します。
- ポップアップ・ストア用ネットワーク通信
移動型で設置も簡単なポップアップ・ストアでは、インターネット接続が課題となることがあります。そこでテルトニカの5Gルーター「RUTM50」を導入し、最大3.4Gbpsの高速かつ安定した通信環境を実現しました。LTE Cat 19によるフォールバック対応により、5G圏外でも高い通信性能を維持。さらに、Wi-Fiと有線の両接続に対応しており、VR機器やPOS端末など多様なデバイスとの連携もスムーズです。この導入により、ポップアップ・ストアの接客力と業務効率が大きく向上しました。事例の詳細についてはこちらをご覧ください。
- 倉庫自動化向け5Gソリューション
都市郊外にある倉庫では、通信環境の悪さが自動化の大きな障壁となります。そこで導入されたのが、テルトニカの5Gルーター「RUTM50」。最大3.3Gbpsの高速通信と超低遅延により、包装ラインや在庫管理システムのリアルタイム処理を支えます。さらに、Wi-Fiと5つのギガビットLANポートにより多様な機器とスムーズに接続でき、RMSによる遠隔監視とRutOSの高度なセキュリティで、安定かつ安全なオペレーションを実現しました。事例の詳細についてはこちらをご覧ください。
5Gルーター移行の最適なタイミングは「今」
3Gサービスの終了、4Gネットワークの混雑、そして5G技術の成熟とコストの現実化。これらを背景に、5Gへの移行は「遠い未来の話」ではなく、今こそ検討すべきタイミングが来ているといえるでしょう。
業務の信頼性を高めたい企業や、IoTを活用した事業展開を加速させたい組織にとって、5Gルーターへのアップグレードは中長期的な競争力と安定性を左右する鍵となるでしょう。5Gルーターを含むテルトニカのネットワーク機器関するご質問がございましたら、以下の「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください!