センターピボット灌漑のIoT化に学ぶ日本でのスマート灌漑
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乾燥地帯での作物の栽培のために編み出された、「センターピボット灌漑」。この灌漑方法はIoT化によって、ますます効率的になっています。農業用の水に恵まれた日本では、あまりなじみのない方法かもしれません。しかし、この農業の自動化は、都市部の緑化運動にも応用されています。今回は、「センターピボット灌漑」のスマート化の詳細と、日本でのこの機能の活用の可能性を探ります。
センターピボット灌漑とは
「センターピボット灌漑」とは、乾燥地帯での農業に最適な方法です。くみ上げた地下水に肥料を添加したあと、自走式の散水菅(スプリンクラー)に圧送して水を撒きます。「センターピボット灌漑」で有名な場所といえば、アメリカのグレートプレーンズでしょう。平均半径400メートル、大きなものでは」半径1kmにもおよぶ、円形農場を多数みることができます。
巨大な円形農場が延々とつらなる風景は、上空からみるとミステリーサークルさながらの光景となっています。この摩訶不思議な見た目の「センターピボット灌漑」には、実はさまざまなメリットがあります。例えば、
1. 散水回数と散水量を自由に調節でき、水を効率的に利用できること。
2. 自動化によって、メンテナンス以外にマンパワーを必要としないこと。
3. 灌漑水に肥料を溶かして、均一に施肥できること。
4. 水盤灌漑や畦間灌漑の慣行灌漑ができない平らでない土地でも利用可能であること。
5. 上記の特徴により、労働生産性が非常に高く、少人数で広い耕地を管理できること。
などが挙げられます。
センターピボット灌漑の市場規模
世界のセンターピボット灌漑システムの市場規模は、どうなっているのでしょうか?株式会社グローバルインフォメーションの市場調査レポートによると、2022年から2026年の間に13億1000万米ドルの増加が見込まれ、予測期間中に14.13%のCAGRで成長すると予測されています。
もちろん、「センターピボット灌漑」には、メリットだけではなくデメリットもあります。例えば、散水中に蒸発が高く、点滴灌漑に比べ約5倍の水量が消費されることは大きなデメリットです。また、地下水に依存しており、過剰や地下水のくみ上げにより地下水位が低下し、 揚水コストが増大するとともに、農業用水の不足により耕地が荒廃放棄される可能性もあります。また、高濃度塩分の排水と高蒸発率により、耕地の塩分集積が進むことで、収量が影響されるという懸念もあります。
しかし、それでも「センターピボット灌漑」市場がここ数年伸びている背景には、温室農業の採用が増加していることが挙げられるでしょう。また、技術革新と改良による様々な機能を持つセンターピボット灌漑システムの台頭が、市場の需要を促進している背景があるようです。
さて、日本における「センターピボット灌漑」はどのような状況なのでしょうか?日本は、ほとんどの地域が温帯湿潤気候に属しており、乾燥地帯特有の課題がないため、一見「センターピボット灌漑」への需要は、あまりないように見えるかもしれません。
しかし、「灌漑」および「農業の自動化」というマクロの視点で考えてみれば、この「センターピボット灌漑」から学べる点は、たくさんあるでしょう。
現代の「センターピボット灌漑」のソリューションを検討するにあたって、大切なのは、このシステムをリモートマネジメント/監視できるネットワーク接続を搭載することです。それによって農作業にかかる人件費や時間を大幅に削減することができるからです。では、実際にどのようなしくみでこのようなネットワークを構築することができるのでしょうか?
センターピボット灌漑とIoT
「センターピボット灌漑」において、利便性と効率性を最大化するには、ネットワークへのリモートアクセス/管理/制御が必要です。しかし、これは簡単なことではありません。たいていの場合このような農地は、ネットワーク環境が発達していない地方にあります。また農地自体が非常に広大なため、農地のすみずみまでネットワーク通信を完備するのは、容易ではありません。
しかし、モバイル接続が可能なLTEルーターをシステムに設置することでこの課題を解決できます。ここで、実際にテルトニカ・ネットワークスの産業用LTEルーター「RUT956」を使用した、スマートセンターピボット灌漑の事例をご紹介します。「RUT956」は、4G LTE (Cat4)接続が可能で、デュアルSIM機能がついているため、農地のどこであっても、途切れることのないネットワーク接続を実現することが可能です。またGNSS機能付きなのも大変便利です。なんらかの理由でセンターピボットシステムが停止してしまった場合、故障したシステムの位置を特定するのに大変便利だからです。
この事例の詳細に関しましては、こちらまたは、下記トポロジーをクリックしてご覧ください。
灌漑とスマートシティ
さて、灌漑のスマート化、というマクロな視点の話を考えてみましょう。 近年、世界中の都市は驚異的なスピードで成長を続けています。大都市の構造はその地域の気温、降雨量、風、気圧、その他もろもろの微気候に多大な影響を及ぼします。暗い色調のアスファルト、オフィス、住宅の屋根は太陽光から熱を吸収、夜になるとその熱が放射されます。ここうした好ましくない副作用に対抗するべく発案されたのが、グリーン・シティ運動です。
アパートの屋上の庭や芝生、緑のつる植物で覆われた壁、歩道沿いに植えられた木々は、一日中吸収される熱を減少させるだけでなく、空気をきれいにするのにも役立ちます。しかし、ご存知の通り、植物が成長し繁茂するには、常に手入れをし十分な水分が必要です。自動化された灌漑システムを導入することで、マンパワー要らずでこれらを管理することが可能なのです。
実際に、テルトニカ・ネットワークスの産業用LTEルーター「RUT241」を使用した事例をご紹介します。遠隔で灌漑システムを作動させるIMC(灌漑水分コントロール)ボックスに当社の「RUT241」を収納することで、監視センターに適宜データを中継し、灌漑システムのリモートマネジメント/管理が可能になりました。この事例の詳細については、こちらまたは下記のトポロジーをクリックしてご覧ください。
スマート灌漑にはテルトニカ・ネットワークス
産業用IoTのネットワーク機器の世界市場で、トップ3にはいるメーカーであるテルトニカ・ネットワークスは、様々な産業用ネットワーク接続デバイスを製造・販売しています。スマート灌漑に搭載できるLTEルーターのラインナップも非常に充実しており、コンパクトで使いやすいベストセラー製品「RUT241」からゲートウェイ、またスイッチ製品にいたるまでさまざまな機器を取り扱っております。