logo

IoTゲートウェイとは?IoTルーターの違いや使用法を解説【事例付き】

#2025, #gateways, #iot

May 14, 2025

IoT分野に携わっている方であれば、「IoTゲートウェイ」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ネットワーク構成の中心的存在となるこの機器ですが、ルーターとの具体的な違いやそれぞれが果たす役割については、意外とあいまいなままになっていることも少なくありません。「IoTゲートウェイってよく聞くけど、ルーターと何が違うの?」「導入するなら、どちらを選べばいいの?」そんな疑問を持つシステムエンジニアやネットワーク担当者の方へ、本記事ではその違いと使い分けを、実例とともにわかりやすく解説します。

jp-iot-gateway-article-banner.png

IoTゲートウェイとはなにか

IoTゲートウェイとは、さまざまな機械・機器やセンサーからのデータを集めて、インターネットにつなげるためのネットワーク機器です。たとえば工場や農場で使われるセンサーや温度計、カメラ等様々な機器の情報をクラウドに送る橋渡しの役目をします。

ただここで問題が生じます。それぞれの機械・機器やセンサーは異なる通信方法を使っているので、そのままでは情報を送ることができません。そこで活躍するのがこのIoTゲートウェイです。ゲートウェイは、通信方法が異なる機器間の「通訳」の役割を果たします。つまり、異なる通信プロトコルを読み込めるように変換し、機器同士の相互接続を可能にするわけです。

IoTゲートウェイの中にはローカルでのデータ処理(エッジコンピューティング)やフィルタリング機能も備えるものもあります。これにより、不要なデータを送らず、ネットワーク負荷の軽減やリアルタイム性の向上を図ることが可能です。また、複数のデバイスを一括で管理したり、設定を一元化する機能もあり、産業分野では現場のPLCやセンサー群とクラウドとの間を仲介する役割として多用されます。

IoTゲートウェイがあることで、工場、発電所、農場などに設置された「現場内だけで完結する閉じたネットワーク」を、クラウドや外部システムと連携できる「開かれたネットワーク」へと拡張することが可能になります。現場のセンサーやPLC(制御機器)で収集したデータを、遠隔地のオフィスやクラウド上の管理システムにリアルタイムで送信し、監視・制御もできるようになります。

このようなネットワーク構成は、スマート工場や再生可能エネルギー設備(太陽光発電所など)、スマート農業(温室や畑の遠隔モニタリング)といったさまざまな分野で広く活用されています。

また、外部との通信を行うためにはセキュリティ対策も重要です。多くのIoTゲートウェイには、VPN(仮想専用線)やファイアウォールなどの機能が標準搭載されており、機密性の高い産業データを安全にやりとりできるよう設計されています。このように、IoTゲートウェイは接続性とセキュリティの両面で、現場と外部をつなぐ重要な役割を果たしています。

jp-iot-gateway-in-article-1.png

IoTゲートウェイとIoTルーターの違い

IoTネットワークを構築する際によく比較されるのがIoTゲートウェイとIoTルーターです。どちらもネットワーク接続を担う機器ですが、役割や接続先、想定される用途が大きく異なります。

IoTルーターの役割

IoTルーターは、機器やシステムをインターネットへ接続するためのルーター機能に特化した機器です。WANとLAN間の通信を制御し、LTEや5Gなどのモバイル通信、VPN、ファイアウォールといったセキュリティ機能も搭載されています。仮設オフィス、遠隔地の監視カメラ、リモートアクセスが必要な各種拠点など、「人」がネットワークを通じてデータを見る・操作する場面で多く活用されます。

IoTゲートウェイの役割

一方のIoTゲートウェイは、「機械」同士のデータ通信や中継に特化した機器です。

前述のとおり、センサーやPLCからのデータを収集し、通信プロトコルの違いを吸収・変換して、上位システムへ橋渡しします。また、ローカルでのデータ処理(エッジコンピューティング)やフィルタリングにより、リアルタイム性とネットワーク効率を両立できるのも大きな特徴です。

両者の違いと使い分け

簡単に言えば、IoTルーターは「人がクラウドにアクセスするための入り口」、IoTゲートウェイは「機器がクラウドとつながるための翻訳機・中継機」です。ネットワークの外(インターネット)と内(現場機器)をつなぐためには、どちらか一方ではなく、両者を併用して補完し合う構成も多く見られます。

たとえば、IoTゲートウェイが現場機器からのデータをまとめ、IoTルーターを通じて安全にクラウドへ送信するという構成です。このように、用途や接続対象によって最適な機器を選ぶことが、IoTシステム全体の効率と安定性を左右するポイントとなります。

IoTルーターを使用した事例はネット上にたくさんあるけれど、IoTゲートウェイの事例は少ないな、と感じれらているかたも多いでしょう。IoTゲートウェイを使用して、実際にどのようなネットワーク構築ができるのでしょうか?次項では、産業用ネットワーク機器メーカー、テルトニカのIoTゲートウェイを使用した実際の事例をいくつかご紹介いたします。 

IoTゲートウェイの活用事例|実際に使われた3つのシーン

インドでの「酸素供給不足」を解決したIoTゲートウェイ

新型コロナウイルスが世界を席巻した2021年。インドの「Altorum Leren」社は、医療用酸素の不足に対し、政府と連携し酸素製造の監視体制構築に取り組みました。

全国の酸素工場に導入されたIoTゲートウェイ「TRB145」に、RS485対応のPLCと自社クラウド「Alfinity」を接続。「TRB145」にはカスタムファームウェアが搭載され、EthernetIPやOPCUAなど多様なプロトコルに対応、異なる設備との互換性を確保しました。

このネットワークにより、各工場の稼働状況を遠隔監視し、酸素供給量を正確に把握・計画する仕組みが実現。さらに、「TRB145」のファイアウォール、VPN、FOTA、SMS制御などの機能が、信頼性の高い通信環境とセキュリティを担保し、結果として、1,000を超える病院が遠隔監視ネットワークでつながれ、人命救助につながる社会的インフラが整備されました。

この事例の詳細に関しては、こちらかもしくは以下のトポロジーをクリックしてご確認ください。

jp-iot-gateway-in-article-2.png
jp-iot-gateway-in-article-use-case-1.png

IoTゲートウェイで建設用クレーンの管理

ポルトガルの「Enbiente」社は、建設用クレーンのレンタル事業において、顧客のクレーン使用状況の正確なデータ収集と遠隔監視を実現するために、テルトニカのIoTゲートウェイ「TRB140」を導入しました。

「TRB140」を、クレーンに設置された監視リレーやタイマーなどの機器とイーサネットで接続し、Modbus TCP通信に対応することで、クラウドへのデータ送信を安定して行います。「TRB140」にはLTE通信機能や、強固なセキュリティ機能が搭載されており、産業用プロトコルへの対応もできるため、屋外や過酷な建設現場でも安定した通信を維持できます。このソリューションにより、クレーンの利用状況に基づいてお客様に正確な請求書を提出したり、予防保守が可能となり、事業の効率・自動化をすすめることができました。

この事例の詳細については、こちらまたは以下のトポロジーをクリックしてご覧ください。

jp-iot-gateway-in-article-3.png
jp-iot-gateway-in-article-use-case-2.png

IoTゲートウェイとスイッチで太陽光発電所を遠隔管理

再生可能エネルギーの拡大にともない、太陽光発電所では24時間体制で遠隔監視・予知保全が当たり前となっています。これに対して、テルトニカの産業用IoTゲートウェイ「TRB140」と産業用スイッチ「TSW210」を併用することで、効率的かつ拡張性のあるネットワークを構築することができました。

まず、太陽光パネルに関連する様々なエンドデバイスを、「TSW210」に接続し、ネットワーク化した上で、「TRB140」に集約します。「TRB140」はLTE Cat 4通信とModbus TCP対応により、収集したデータを遠隔のERPシステムに送信。 これにより、発電状況や機器状態の可視化と分析が可能になります。最終的に、複数パネルを1台のIoTゲートウェイで管理できるスケーラブルな構成が実現でき、導入台数の削減にも成功しました。

この事例の詳細については、こちらまたは以下のトポロジーをクリックしてご覧ください。

jp-iot-gateway-in-article-4.png
jp-iot-gateway-in-article-use-case-3.png

IoTゲートウェイならテルトニカ

IoTネットワーク機器/ソリューションのグローバル企業グループ、テルトニカのIoTゲートウェイは世界180カ国でご愛用いただいております。現在当社では、日本国内でも安心してご利用いただける技適承認済みIoTゲートウェイを7製品取り扱っております。テルトニカの産業用ネットワーク機器には以下のとおり共通する特徴があります。

jp-iot-gateway-in-article-5.png

最高レベルの「耐久性」


当社のIoTゲートウェイは、―45℃~75℃という幅広い温度耐性と、強靭なアルミニウム製筐体で高い耐久性を保証します。 


高品質なのに低価格


当社では、それぞれのソリューションに必要な機能のみを備えた「ちょうどいい」デバイスをご提供することで、低価格を実現します。また、「まとめ買い」でさらにお安くご提供できます。


 設定いらずの「使いやすさ」


 当社のIoTゲートウェイは、使用にあたって難しい設定は必要ありません。「プラグ&プレイ」つまり、差し込んでスイッチをONするだけで、すぐに使用できます。


 以上の理由から、お客様に選ばれつづけているテルトニカの産業用IoTゲートウェイ、ぜひご利用をご検討いただければ幸いです。もし当社の製品やサービスに関してご不明点やご質問がございましたら、ぜひ下記の「お問い合わせ」からお気軽にご連絡ください。

この記事はいかがでしたか?
ぜひシェアしていただければ嬉しいです!
ご不明点がございますか?
お気軽にお問い合わせください!
お問い合わせ