GNSS&GPS車両追跡とは?詳しく解説します
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「位置情報」や「車両追跡」の話題がでると、私たちは直感的にGPSを連想するのではないでしょうか。GPSを使えば世界中どこにあるものでも座標をピンポイントで特定することができます。しかし今、位置追跡技術はGPSネットワークの枠を超えGNSSへと広がってきています。
これは「GNSS」vs「GPS」という対立構図ではありません。というのも、もともとGPSは衛星測位システム(GNSS)というナビゲーション・システムの一部である、という位置づけだからです。そのため、位置情報や車両追跡などのテクノロジーを理解するためには、まず包括的なコンセプトである「GNSS」を理解する必要があります。
GNSSとは何?どんなしくみになっているの?
GNSSすべての母体です。つまり「GPS」、「ガリレオ」、「北斗」などさまざまな衛星はGNSSシステムのひとつなのです。それぞれの衛星が特定の物体の位置情報、ナビゲーション、タイミング(PNT)情報を収集し、GNSS受信機に送信します。これら受信機は収集されたデータを解析して、正確な位置/速度/時間情報を生成するのです。
ここで疑問が生じます。GNSS受信機は集めたデータをいったいどのように処理するのでしょうか?
まずGNSS受信機は、それぞれの衛星から正確な位置とタイミングに関する情報を受信します。次に、各信号がGNSS受信機に到達するまでの正確な時間を測定し、GNSS受信機と衛星間の距離を計算します。
この情報を取得した後、GNSS受信機のほうで潜在的な大気遅延やクロック誤差などを考慮します。これは受信機のソフトウェア・アルゴリズムの中で行われ、誤差や不整合を補正して位置データの精度を高めるため、複雑な計算を行います。
最終的にGNSS受信機は、この計算済みの精緻化(せいちか)されたデータを、ディスプレイ・インターフェース、地図アプリケーション等、所定の媒体を通して表示するのです。
GPSと車両追跡を使用するメリット
先に述べた通り、GPSはGNSSという大カテゴリに含まれる様々なシステムのうち、最も普及しているシステムと言えるでしょう。もともとGPSは、米国の衛星ナビゲーションシステムで、車両やアセット、またさまざまな移動体のバーチャル監視や追跡に対応することができます。
GPSがもっとも役に立つのは、車両の位置の監視をする場合でしょう。当社のグループ企業である「テルトニカ・テレマティクス」では、多数の車両に同社の車両追跡用GPS「EYE BEACON」を装備したケースを含む、さまざまな事例をご紹介しています。
ここでちょっとイメージしてみてください。登録したユーザーが好きな時に車を借りれる、カーシェアリング会社を経営しているとしましょう。これらの車両は所有者が決まっておらず、さらにモバイル・アプリからアクセスできるため盗難の危険があります。
仮に盗難が事態が発生した場合、このGPSによる車両追跡が役立ちます。カーシェアリング会社は盗難警報を受信するとすぐに、衛星ナビゲーション・システムを使って盗難車両の正確な位置をリアルタイムで追跡することができます。
車両GPSサービスによって、位置データを一貫して関連サーバーに送信し車両の動きを監視できるため、車両が移動したとしても効果的な追跡が可能になります。またGPSによってカーシェアリング・サービスの盗難車両の追跡・回収ができれば、GPSが収集したデータを法的な証拠として利用することもできます。
IoTにおけるGNSSとGPS車両追跡の価値
2021年に1,751億9,000万ドルだった世界のGNSS市場は、2028年には3,207億3,000万ドルとなり、輸送、農業、セキュリティ、海洋分野など、複数の産業にわたってCAGR(年平均成長率) 9.02%で成長すると予測されています。これらの産業における業務の多くが、GNSSだけが提供できる正確な位置情報に大きく依存しているからです
輸送業界 におけるGNSSの使用事例
先ほどもすこし触れたように、輸送業界はGNSSから大きな恩恵を受けることができます。当社の事例をいくつかご紹介しましょう。革新的な農業ソリューションを専門とするオランダのメーカー、「Agrifac」社の事例「可動式農業機械を効率的に運用するためのIoT施策」があります。この事例では堅牢なネットワーク接続とGNSS機能を組み合わせることで「Agrifac」社の農業用自走式噴霧器の能力を最大限に発揮することができました。
さらに、オーストリアのネットワーキング・ソリューション・プロバイダーである「Unwired Networks」社のとの協業事例「公共バス内で快適なWifiおよびネットワーク接続を実現する」もあります。この事例では、農村地域を走る自社のバスに、信頼性の高い車両追跡システムと堅牢なネットワーク接続を搭載したバス会社、「Postbus」社に焦点を当てています。
スマートシティにおけるGNSSの使用事例
スマートシティ分野における事例もご紹介させてください。ひとつめは、IoD(インターネット・オブ・ドローン)イノベーターの「PROBOTEK」社と共同で臨んだ、「ドローンフィールド展開のためのコネクティビティ」の事例です。IoDに必要とされる要件は大きな課題でした。展開中に起こりうる誤動作を防ぐためにソリューション全体を綿密に監視する必要があったためです。これを可能にするためには、GNSSと高性能なネットワーク接続が不可欠でした。
最後の使用例は、「農業を効率化するセンターピボット灌漑システムの自動化」です。ここでは、GNSS機能と優れたコネクティビティが、農村部にある特定の作物畑の監視と位置特定にどのように役立つかを紹介しています。このソリューションにより農業従事者が、畑に点在するそれぞれのセンターピボット灌漑システムに直接出向く必要がなくなり、人件費と時間の大幅な節約が達成できました。
NTRIPによるGNSS精度の向上
RutOSのバージョン7.03以降、テルトニカ・ネットワークス製品6つ(7つ目が近日中に発表される予定です)がNTRIPプロトコル対応となっております。このプロトコルは、ディファレンシャルGPSまたはリアルタイムキネマティック(RTK)データをインターネット上でストリーミングするためのもので、GNSSデータの位置精度を数センチ以内のずれに収め、大幅に向上させます。
NTRIPプロトコルに対応しているテルトニカ・ネットワークスのデバイスは、農業のような高精度の位置データを必要とするケースにとって理想的です。農業が自動化に向けて急速に進歩する今、NTRIPが提供する位置精度は、より精密な農業技術を可能にします。これにより、効率性と費用対効果の両方が向上し、より持続可能で収益性の高い農業経営への道が開かれます。
GNSS技術を利用した車両追跡は、特に動体資産、物体、車両などを扱う際に、包括的な位置データ分析を供給する上で重要な要素となります。結論として、ソリューションに関して正確な知識を持つことは、闇雲に操作して結果を期待するよりはるかに良いことでしょう。