テルトニカ・ネットワークスの新しいRutOS 7.05をご紹介
#rutos, #2023, #update
当社テルトニカ・ネットワークスは、産業用IoTルーターなどの接続ハードウェアをご提供する企業です。そのハードウェアに使用するオペレーティングシステムは、お客様のネットワークソリューションに価値をもたらすために不可欠なものです。当社のRutOSは、長年にわたり世界中のIoTネットワーク構築ソリューションをサポートしてまいりました。そして、定期的なアップデートにより常に改良を続けております。本日は、このRutOSの最新版-「RutOS 7.05」についてご紹介いたします。
RutOS 7.05は、オペレーティングシステムの様々な側面をカバーしています。わかりやすくするために「新機能」「新しいRutOSページ」「新しいプロトコルのサポート」「アップグレードと改善」「UXのアップデート」という5つのカテゴリーにまとめました。
それでは各カテゴリーの主な機能についてご説明いたします。
1. 新機能
まず、当社のM-Bus IoTゲートウェイ「TRB143」からご説明しましょう。今回のアップデートにより、このゲートウェイにはIP機能にM-Bus が追加されました。これにより独自のソフトウェアを実行し、M-Busをテレメトリやその他のパラメータ・データを抽出するための文字通りの「ゲートウェイ」として、このIoTゲートウェイを使用することができるようになりました。これは、エネルギーやユーティリティ(電力)に関わるネットワーク・ソリューションにおいて非常に有効です。
さらに、データをサーバーに送信する機能を再構築いたしました。これで、さまざまなソースや異なるプロトコルからパラメータを抽出し、それらをすべてひとつのサーバーに送信できるようになりました。この機能は「TRB143」だけでなく、当社のすべてのデバイスでご利用いただけます。
さらにIoTゲートウェイに関しては、TRBシリーズ全製品にホットスポット機能を搭載しました。これによって小売店や商業施設、企業への導入の際に大変有力な選択肢となるかと存じます。
またRutOS 7.05では、GPL(General Public License)パッケージに新機能が追加されました。これらの新機能により、独自のカスタム・ファームウェアとWebページ・アプリケーションを作成できるようになりました。簡単に作成できるよう、作成例もご用意しております。またニーズに合わせて色やロゴなどを変更し、ファームウェアをブランド化することもできるようになりました。これらの新機能は、テルトニカ・ネットワークスのデバイスを、お客様のIoTネットワーキングソリューションの特定のニーズに合わせてカスタマイズするのに役立ちます。
さらに、SIMアイドル保護機能も追加いたしました。これはプリペイドカードなど、契約やサブスクリプションなしでSIMカードを使用する場合に便利です。SIMスロットが二つあるデバイスで作業する場合、使用されていない方のSIMスロットは、デバイスがそちらに切り替わるまでアイドル状態のままとなります。つまりカード上のデータは使用されません。
最後に、新しいワイヤレスQRコードジェネレーターも追加いたしました。一度スキャンすると、ユーザーはログイン情報を入力することなく自動的にネットワークに入ることができます。ホテルやレストラン、その他の商業スペースなどのゲスト用Wi-Fiとして非常に便利な機能となっております。
2. 新しいRutOSページ
Update 7.05では、ネットワークやデバイスの制御、管理、分析機能を向上させるための新しいページが4つ追加されました。1つ目は「ポート(Ports)」ページで、RUTXシリーズの全IoTルーター、IoTゲートウェイ「TRB140」、5Gルーター「RUTM50」のポートの表示、それぞれのポートの有効/無効の切り替え、自動設定のオン/オフ、伝送速度の変更などを行うことができます。使い勝手がよくなるのはもちろんですが、これでツールボックスにネットワーク・セキュリティ対策が追加することにもなります。
次に、新しい「ファイアウォールステータス(Firewall Status)」のページを追加しました。RutOS内でファイアウォールの統計をすべて表示するための単一の場所で、新しく高度なものも含まれています。ここでは、ネットワークソリューションでアクティブなファイアウォールルール、カウンター、トラフィックフローなどを確認することができます。
もう一つの新しいページは、「ワイヤレスチャネル分析(Wireless Channel Analysis)」です。同じ環境で複数のワイヤレスIoTネットワークが稼働している場合、このページを使って利用可能なネットワークをスキャンし、最も空いているネットワークを特定することができます。これは、ネットワーク・ソリューションの最適なデータフローのために、どのネットワークを使用するかを決定するのに役立ちます。
最後に、「ネットワーク・トポロジー(Network Topology)」ページでは、ネットワークを視覚的に表現し、デバイス同士がどのように接続されているかを示します。これは、より詳細な設定に移動できるネットワーク図(トポロジー)です。ネットワーク・ソリューション内のデバイスに応じて、一部のエンドデバイスもこのトポロジー内で表示される場合があります。ぜひこのページをご覧いただければ幸いです。
3. 新しいプロトコルをサポート
RutOS 7.05で、新しいプロトコルのサポートをひとつ装備すると同時に、もうひとつのプロトコルに追加のサポートを加えました ー DLMSとTincで、どちらも当社のルーターおよびゲートウェイすべてに対応しています。
DLMSは水道、暖房、ガス、電気などの遠隔測定や、ユーティリティ用のメーターとの通信によく使用されるプロトコルです。使用例としてはM-Busに類似しているものの、異なる規格となります。
Tincは、VPNウェブサービスに使用されるオープンソースのプロトコルで、自動フルメッシュルーティングやNAT越えなどの機能をご提供します。RutOS 7.05では、このプロトコルにWeb UIサポートを追加いたしました。VPNに手を加えるのがお好きであれば、Tincがネットワーキングのソリューションに合うかどうかぜひお試しください。
4. アップグレードと改良
例えば、新しいおもちゃを手に入れるのは楽しいものです。加えて既存のおもちゃを改良することで、おもちゃ箱全体がアップグレードします。同様にRutOS 7.05で、「RUTX」シリーズのデバイス、「TAP200」と「RUTM50」のカーネル(バージョン5.10)をアップグレードいたしました。これにより速度、セキュリティ、性能、その他の重要な要素が改善されました。
速度の向上といえば、当社5G製品の導入においてさらなる高速通信のご要望をいただいておりましたが、今回5Gルーター「RUTX50」のスループット速度が50%向上したことを発表できることを嬉しく思います。
もちろん、速度がすべてではありません。IoTネットワーク・ソリューションにおいては、ネットワーク管理も重要です。そのため、RutOSのIPSec、L2TP、OpenVPNのサポートを改善いたしました。より多くのパラメータを含む強化されたネットワーク可視性にアクセスできるようになり、ネットワーク管理が全体的に改善されシンプルになりました。また、ZeroTierの構成も簡素化されたため、当社製品を使用することで、ネットワーク・ソリューションにZeroTierをより容易に組み込むことができるようになりました。
ネットワーク管理におけるもうひとつの重要なポイントは、「モバイルステータス(Mobile status)」ページです。このページには、キャリアアグリゲーション情報、通信速度と整合性など、アクセスできる値や情報を追加いたしました。信号強度のカラー表示も追加いたしました。
最後に、ホットスポットカスタムテーマを、独自のホットスポット・ランディングページにアップロード/ダウンロードできるようになり、必要に応じて簡単に展開できるようになりました。
5. UXアップデート
RutOSのバージョン7.05にはシンプルかつ革新的な機能がいくつか追加され、作業がこれまで以上に快適になりました。中でも特筆すべきは検索バーの設置です。これでお探しのRutOSのページを検索し、より迅速かつ効率的に見つけることができます。
RutOSに新しい機能やページを追加し続けると、システム内の配置が少々煩雑(はんざつ)になります。そこで、機能の配置を、より適切なカテゴリーに再編成しました。これで、より直感的な操作な操作ができるようになり、お探しの機能を見つけやすくなります。
同様に、LANとWANのインターフェイスを分離しすることで両方の可視性を向上させ、ワークフローをより便利にしました。そして最後にサービスの名称をいくつか変更させていただきました。例えば、「マスター/スレーブ(master/slave)」の分類は「サーバー/クライアント(server/client)」になっています。
バージョン7.06はどうなる?
この最新のRutOSアップデートが、テルトニカ・ネットワークスの製品を使用したIoTネットワークソリューションとワークフローに新たな価値をもたらすことを願っています。Wikiナレッジベースで、今回のアップデートに関する各製品の変更箇所のリストおよび変更履歴を確認いただけます。各製品のWikiページに遷移後、ファームウェアダウンロードを選択してください。
ご質問やご意見、また次回のRutOSアップデートでの新機能や変更についてのご提案などがございましたら、ぜひお聞かせいただければ幸いです。ご連絡は下記のボタンから承っております!