産業事例で学ぶネットワークスイッチとルーターの併用戦略
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産業用IoTソリューション構築の際によく使用される「ネットワークスイッチ」と「ルーター」。このふたつのデバイスは異なる機能をもつからこそ、併用することでそれぞれのよさを引き出すことができます。 ネットワーク構築にあたり、どのような相乗効果を生み出せるのか、事例を交えて詳説いたします。

ず本題に入る前に、産業環境におけるルーターとネットワークスイッチの機能や目的についてふり返りましょう。ルーターは、産業用ネットワークとインターネットや他のネットワーク間でデータ通信を管理・制御するための接続デバイスです。産業用ルーターとして特に重宝されるのはLTEルーター等のモバイルルーターでしょう。例えば、遠隔地からの機器監視や制御が必要なケースや、移動体にネットワーク環境を配備する際によく使用されます。
最近では、モバイルルーターの中でも高速の通信速度を担保する5Gルーターの使用も増えています。一例としてポップアップストアに5Gルーターを導入した事例をご紹介します。ポップアップストアは、店舗設置が期間限定であったり、設置場所が頻繁(ひんぱん)に変わります。そのような特殊な環境下では、ワイヤレスでどこからでもネットワーク接続できることが重要になります。5Gモバイルルーターの高速インターネットで、レジ、顧客リストや商品リストの管理などをアイパッドでスムーズに行えるようになりました。
対して、ネットワークスイッチは、複数のデバイス間でデータの転送を管理するネットワーク機器です。主に、スイッチング機能を使用して、異なるデバイス(例えば、センサー、PLC、ロボットなど)のデータ通信を高速かつ効率的に実施するために使用します。例えば、生産ラインのセンサーがリアルタイムでデータを収集し、中央制御室に送信するケースや、複数のロボットが協働して作業を行うために、通信をスムーズに行う必要があるケースに使用されます。ネットワークスイッチの導入でシステム全体のデータ転送速度や信頼性が向上し、作業の効率化が図られます。
ネットワークスイッチと一言でいっても、ネットワークの設定が基本的に不要なアンマネージ・スイッチや、高度な管理・監視設定ができるマネージドスイッチなど様々な種類があります。また、電力とインターネットを1本のケーブルで同時に供給できる「PoE(PoE+)給電」機能をもつPoEスイッチもあります。様々なネットワークスイッチを、ソリューションのニーズによって使い分けることが重要です。
一例として、センサー、カメラ、ロボットアーム、PLC等さまざまな機器が配置される、大規模自動車工場の組立ラインにマネージドスイッチ(ネットワークスイッチ)を複数組み込んだ事例があります。このマネージドスイッチに搭載されたポート管理やQoS機能を通じてきめ細かなネットワーク管理ができるため、相互に複雑に絡み合うシステム内の機器をスムーズに動作させることが可能になります。
ネットワークスイッチとルーターの違い
前項をまとめると、ネットワークスイッチは内部ネットワークの通信を管理するため、ルーターはネットワーク間の接続を制御するために使用されるデバイス、ということになります。ネットワークスイッチとルーターには、使用目的に合わせて機能や通信手段にさまざまな違いがあります。以下の表にまとめましたのでご覧ください。

このように、異なる機能・仕様をもつネットワークスイッチとルーターはお互いを補完しあうことができます。つまりこの2つの機器を同時にうまくネットワークに組み込むことで、ソリューションの幅を広げることが可能なのです。ますます高度なネットワークインフラが求められるようになった現代において、これは朗報ではないでしょうか?
それではここからテルトニカのネットワークスイッチとルーターを併用した産業用IoTソリューション事例をみていきましょう。
消防車の車載機器に円滑なネットワークを構築
まずは、消防車の車載通信システムに関する事例です。消防車には一般的にカメラ、ナビシステム、救命機器、コンピューター機器など様々なデバイスが搭載されています。消防車と中央管理室がリアルアイムで通信・情報を共有し、火災等の非常事態に対応するためです。この通信を円滑に行うためには堅牢なネットワーク構築が必須なのですが、ここで二つの課題がありました。
- 消防車の中という限られた空間に配置される多数の車載機器について、配線が絡まるのを防ぎ整然と運用すること
- 広範囲を移動する消防車に、安定したネットワーク通信を搭載すること
ネットワークスイッチとルーターを併用することで、この二つの課題を一気に解決できました。まず、ネットワークスイッチとして、テルトニカの「TSW101」を導入しました。「TSW101」はPoEスイッチで、搭載されているイーサネット5つのうち4つはPoE+給電対応となっています。これで狭い消防車内に格納するそれぞれの機器にLANケーブル一本でネットワーク通信と電力を同時に供給でき、配線をすっきり二分の一の量にまとめることができました。
ここにテルトニカの産業用LTEルーター「RUTX11」を組み込むことでネットワーク全体にワイヤレスでインターネット接続を供給ができます。IoTプラットフォーム「RMS(リモート・マネジメント・システム)」を導入して、中央制御室から機器の遠隔操作が可能になり、どのような現場にも安心して出動できるようになりました。この事例についての詳細はこちら、もしくは下記トポロジーをクリックしてご覧下さい。またPoE(PoE+)スイッチについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
僻地の施設に予備電源・インターネットを備える
次は、バックアップ電源とインターネット接続を同時に供給するデバイス「Reskube Edge E110」(テルトニカのパートナ企業が手がける)を僻地のガソリンスタンドに導入した事例です。導入にあたり、下記二つの課題がありました。
- 停電時などの非常事態にもスムーズなネットワーク通信を確保できるよう、「Reskube Edge E110」にモバイルルーターを組み込むこと
- ガソリンスタンド内に設置してある様々な機器(POSセンサー、監視カメラ、POSシステム、漏洩センサー等)を「Reskube Edge E11」に接続すること
この課題に関しても、テルトニカのネットワークスイッチ「TSW202」と、デュアルSIMでのフェイルオーバー機能を持つ産業用LTEルーター「RUT956」を導入することで解決できました。まずは、ガソリンスタンドの運営に必要なPOSやセンサー、インターネット電話などをPoE給電機能を持つ「TSW202」に接続、さらにこの「TSW202」を「RUT956」と「Reskube Edge E110」に直列に繋ぎます。
停電が発生すると瞬時に、「Reskube Edge E110」は内部バッテリーへの自動フェイルオーバーを開始します。これですべてのデバイス(「RUT956」、「TSW202」、その他のエンドデバイス)にはひき続き電力が供給され問題なく動作を継続します。LTEルーター「RUT956」は自動的にプライマリWAN接続からセカンダリSIM接続に切り替わり、停電中でもネットワーク全体にスムーズで中断なきインターネット接続を供給します。IoTプラットフォーム「RMS(リモート・マネジメント・システム)」で、遠隔操作もできるため、僻地のガソリンスタンドで停電が発生しても、通常営業を滞りなく継続できるのです。この事例についての詳細はこちら、もしくは下記トポロジーをクリックしてご覧下さい。
ネットワーク機器ならテルトニカ
IoTデバイス/ソリューションのグローバル企業グループ、テルトニカの接続デバイスは世界180カ国でご愛用いただいております。現在当社では、日本国内でも安心してご利用いただける技適承認済み産業用ネットワークスイッチ10製品・産業用ルーター9製品を取り扱っており、この二つのデバイスを併用した事例も多数ございます。テルトニカの産業用ネットワークデバイスには以下のとおり共通する特徴があります。

最高レベルの「耐久性」
当社のネットワーク機器は、―45℃~75℃という幅広い温度耐性と、強靭なアルミニウムまたはアルマイト製筐体で高い耐久性を保証します。
高品質なのに低価格
当社では、それぞれのソリューションに必要な機能のみを備えた「ちょうどいい」デバイスをご提供することで、低価格を実現します。また、「まとめ買い」でさらにお安くご提供できます。
設定いらずの「使いやすさ」
当社のネットワーク機器は、使用にあたって難しい設定は必要ありません。「プラグ&プレイ」つまり、差し込んでスイッチをONするだけで、すぐに使用できます。
以上の理由から、お客様に選ばれつづけているテルトニカの産業用ネットワーク機器、ぜひご利用をご検討いただければ幸いです。もし当社の製品やサービスに関してご不明点やご質問がございましたら、ぜひ下記の「お問い合わせ」からお気軽にご連絡ください。