概要
GSMアソシエーションのデータによると、世界では52億人以上がモバイルサービスを利用しており、接続数は90億件を超えています。この中にはモバイルIoTの接続も含まれており、世界のデジタル化の進展にともなって、今後さらに増加していくと見込まれています。利用者や通信事業者の増加と比例して、基地局の新設も急速に進んでいます。
課題
市場の拡大にともない、多くの基地局が人里離れた場所に設置されるようになっています。こうした場所まで電力ケーブルを敷設するのは非常にコストがかかるため、通常はディーゼル発電機とUPS(無停電電源装置)を組み合わせて電力を供給しています。
さらに、これらの基地局は高コストながら自立型のシステムで構成されており、遠隔から管理されるのがデフォルトです。CCTVカメラや入退室管理システム、現場管理用のコントローラーなど、セキュリティ機能も多数備えられており、それらすべてを含めて常時監視・制御する必要があります。
しかし、こうした基地局は人里離れた遠隔地に設置されることが多く、有線インターネット回線を利用できるケースはごくわずかです。現在、世界にはおよそ650万の基地局が存在するとされていますが、それらを効率的に運用するには遠隔管理こそが現実的な唯一の手段といえるでしょう。つまり課題は、安全かつ安定したインターネット接続をケーブルの敷設が難しい環境においてどう確保するかということです。
ソリューション
セルラー基地局のの通信タワーは、前述のとおり多くの要素が組み合わさった複雑なインフラですが、それらの大半は基地局制御装置に直接接続され、一括して監視・制御されています。この基地局制御装置をインターネットに接続するために、当社パートナーはテルトニカのLTEルーター「RUTX11」を採用し、4G LTE回線で安全かつ安定した通信を実現しています。
また、「RUTX11」は自動フェイルオーバー機能付きのデュアルSIMに対応しており、これによって通信の冗長性を確保できます。これで基地局制御装置への遠隔アクセスが可能になり、複数の通信タワーを中央の管理センターから一元的に監視・制御することができます。さらに、「RUTX11」はギガビットイーサネットおよびWi-Fi機能も備えており、監視カメラ(CCTV)や入退室管理機器などの追加機器との接続にも柔軟に対応可能です。
万が一システムに異常が発生した場合、メンテナンス会社が即座に通知を受け取れるよう、サイト管理ソフトウェアを通じてシステム全体を遠隔で制御することもできます。さらにテルトニカのリモート管理システム「RMS(リモート・マネジメント・システム)」を利用して、「RUTX11」のリモート監視・操作、最新ファームウェアの更新、重要なアラートや使用状況のレポート取得に対応しています。
TOPOLOGY
ベネフィット
- 高信頼性 :「RUTX11」はSIMカードスロットを2つ備えており、異なる通信事業者の回線を使い分けることで、より安定した通信環境を確保できます。
- 無線インターフェース : 「RUTX11」は2.4GHzと5GHzのWi-Fiを搭載しており、追加の配線なしでさまざまな機器へのインターネット提供が可能です。
- 遠隔制御 :コントローラーと管理ソフトウェア間のゲートウェイとして機能し、制御・監視を実現します。
- リモート設定 :数千にのぼる拠点も、テルトニカのリモート管理システム(RMS)を使えば、すべてのルーターをまとめて遠隔から設定・管理できます。
なぜテルトニカなのか?
「RUTX11」は、テルトニカが提供する最先端の産業用LTEルーターです。「セキュア」「高信頼性」「使いやすさ」という当社の製品設計理念に基づき開発されており、高い性能を備えながら、導入・運用はシンプル。基地局インフラに求められる多様な要件に対応し、高速かつ安定したセルラー通信を提供します。さらに、テルトニカのリモート管理システム(RMS)にも完全対応。すべてのテルトニカ製ネットワーク機器を遠隔から一括管理・監視でき、拠点が複数に分かれる現場でも、効率的な運用を可能にします。
この事例で使われた製品
RUTX11キャリア・アグリゲーションによりセルラー通信速度が最大300Mbps
自動フェイルオーバー、バックアップWANとその他の切り替えシナリオ
Wave-2 802.11acデュアルバンドWI-FIおよびBluetooth LE
ギガビット・イーサネットポート×4、最大128ポート/タグベースVLAN対応