LTEルーターのすべて – 基礎から用途まで完全解説
#iot, #4g
LTEルーターとはLTE通信を利用したネットワークの中継器のことです。特にIoT化やDX化が推進されている産業分野においては、インターネットを利用するために欠かせない存在となっています。この記事では「LTEとは何か」という基本から、同じく無線通信の規格である、Wi-Fiとの違い、そしてLTEルーターの最適な用途までまるっと解説いたします。これを読めば、LTEルーターについてのすべてがわかります!
LTEルーターの「LTE」とはなにか
そもそもLTEとは何でしょう?LTEとは、Long Term Evolution(ロング・ターム・レボリューション)を略した言葉で、「3.9G」(第3.9世代移動通信システム)と呼ばれる通信規格の一つです。
スマートフォン(携帯電話)を利用するときに、画面の右上に「3G」や「4G」または「LTE」という表示がでているのを目にしたことがありますよね?
最近は「5G」が表示されることも多くなっているかもしれません。この「●G」が表示されている場合、そのスマートフォンはこの「移動通信システム」を使って通信しています。
「●G」の数字が大きくなればなるほど通信速度が速くなります。LTEは「3.9G」なので、ちょうど「3G」と「4G」の間に入ります。つまり速度の速さで並べると、遅いほうから「3G<LTE<4G<5G」となるわけです。
正確にいうと、「3.9G」は数字的にほぼ「4G」よりですよね。というわけで最近では「4G/LTE」とまとめることも多く、「LTE」と「4G」がほぼ同義の意味で使用されるケースが増えています。「LTEルーター」≒「4Gルーター」と解釈してもらってかまいません。
LTEのしくみ
LTEのネットワーク電波のしくみはどうなっているのでしょうか。実は全国のいたる場所に、移動通信の無線基地局が設置されています。わかりやすく言えば、ドコモやauなどのモバイルキャリアが設置している基地局です。この基地局を利用して電波の受信/発信がされているのです。
日本の4大モバイルキャリア(ドコモ/au/ソフトバンク/楽天モバイル)が持つ基地局の合計数は、4G/LTE電波に関しては2022年の時点で672,443となっています。
例えば電車の中で長距離を移動しながらスマートフォンを使用しても、基本的に通信が途切れないのは、これだけ多くの基地局がそれぞれ一定の範囲でネットワーク通信をカバーしているからです。
モバイル対応デバイス(例えばスマホなど)は通信の際、基地局Aから、基地局B、基地局C、というように強い電波を勝手に探し、自動的に拾いながら通信をつづける、というしくみになっています。
このテクノロジーのおかげで、私たちは全国(ほぼ)どこにいっても携帯電話で通話したりネットを閲覧したりすることができるわけです。
実は、「LTE」はじめとするこの移動通信規格は、携帯電話の通信以外にも多様されています。インターネットの固定回線なしで、広範囲に安定したネットワーク通信ができるという特徴から、さまざまな用途に使われているのです。のちほど詳しく解説いたします。
LTEとWi-Fiの違いは
ここで、LTEとWi -Fiの違いにも軽く触れておきましょう。どちらも同じ無線通信ということでLTEはよくWi-Fiと比較されますが、両者は異なる仕組みをもっています。
Wi-Fiは無線LANの通信規格の一つ。無線LAN機能をもつ製品のうち「Wi-Fi Alliance」という団体が定める規格を満たした製品だけが「Wi-Fi」と名乗ることができるのです。(ちなみに、無線LANの他の規格としては「Bluetooth」「Ultra Wideband」などがあります。)
Wi-Fiルーターを使って、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)のインターネットに接続するのが「Wi-Fi接続」。対して、WAN(ワイド・エリア・ネットワーク)を利用し、各モバイルキャリア(日本でいえばドコモ/auなど)の所有する基地局を介して飛んでくるLTE電波をキャッチし、インターネットに接続するのが「LTE接続」となります。
LTEルーターの用途は無限大
さて、「LTE」および「LTEルーター」のしくみについてご説明してきました。ところで「LTEルーター」は、どのような場面で使用するのでしょうか?LTE通信が持つ最大のメリットは、固定回線が不要で簡単にネットワークが構築できること。その特徴から、産業用途のIoTネットワーク通信に非常に適しているといえます。事例を交えてご紹介しましょう。
1. 遠隔地/屋外/無人環境などでインターネット接続が必要な場合
市街地から遠く離れた、山の奥や農地は固定回線を使ったネットワークの構築が非常に困難です。そのような場合にLTE電波を使って安定したインターネット接続を確保することができます。
例えば、農業の自動化についてご紹介します。広大な農地を管理運用を効率化するために、水や肥料などを供給する灌漑システムの無人化/自動化に踏み切ったとしましょう。この場合、まずは農地に設置された灌漑システムにネットワーク通信システムが必要です。
しかし、農地というのはたいてい田舎にあり、敷地が広大です。固定回線で安定したインターネット接続を構築するのが非常に難しいわけです。そこで固定回線を引くかわりに農業機器にLTEルーターを取り付け、ネットワークを構築します。これで、必要な時に必要な分だけ畑に水を供給できるようになり、無駄な人員の削減と水の節約を達成できます。(この事例の詳細は、下記トポロジをクリックしてご覧ください。)
また、EV充電ステーションの管理のIoT化という事例もあります。近年EV車が増えており、それに合わせてEV充電ステーションの増設も確実です。ひとつのステーションにつき数十個の充電器が設置されるわけで、これらを管理運用するには自動化が必須でしょう。
しかしEV充電ステーションは必ずしも、インターネットの固定回線が引きやすい市街地に設置されるとはかぎりません。田舎道や、山の奥など不便な場所にもまんべんなく必要です。(でないと、山奥でEV車が止まってしまったら大変なことになります。)
そんな場合にEV充電ステーションにLTEルーター組み込むことで、安定したインターネット接続を提供し、遠隔から複数のEV充電ステーションを管理することが可能になるわけです。(この事例の詳細は、下記トポロジをクリックしてご覧ください。)
2.移動体にインターネット接続が必要な場合
LTEルーター(4Gルーター)の機能は移動体、つまり「動くもの」にインターネットを搭載する場合にも大活躍します。3G、4G/LTE、5Gなどは、携帯電話での通話やインターネットの閲覧に使用されていることからもわかるとおり、動き回りながらでも安定した通信ができるのが特徴です。
「移動体」にLTEルーターを装備することでインターネット・コネクティビティを搭載した事例を、ご紹介しましょう。一つ目は、警護輸送車にLTEルーターを設置した例です。この警護輸送車にはセキュリティの観点から複数のビデオカメラを搭載し、本部からリアルタイムで監視する必要がありました。
結論としては、車両にLTEルーターを搭載することで問題が解決しました。広範囲を移動する車両に安定したネットワーク接続を確保することができたのです。(この事例の詳細は、下記トポロジをクリックしてご覧ください。)
また、人道的なプロジェクトにLTEルーターが役に立った事例もあります。ポーランドのヴロツワフ科学技術大学の学生ロボティクス研究会が開発した、自律型地雷除去ロボット「アリアドナ」にも、LTEルーターが取付けられました。「アリアドナ」にはLIDAR、GPS、IMUや深度カメラなど様々なセンサーやデバイスが取り付けられており、それらを駆使して無人で地雷を除去します。
これらを機器を円滑に運用するためには、アドリアナ本体に安定したインターネット接続が必須です。この事例においてもLTEルーターをアドリアナに取り付けることで、この課題を解決できました。(この事例の詳細は、下記トポロジをクリックしてご覧ください。)
このようにインターネットの固定回線の設置が難しい様々な状況において、LTEルーターを使用したネットワーク接続の構築は、非常に便利です。そのようなわけで、LTEルーターはこのように産業用途にかかせないデバイスとなっているのです。
LTEルーターならテルトニカ・ネットワークス
産業用IoTのネットワーク機器の世界市場で、トップ3にはいるメーカーであるテルトニカ・ネットワークスは、様々な産業用ネットワーク接続デバイスを製造・販売しています。LTEルーターのラインナップも非常に充実しており、コンパクトで使いやすいベストセラー製品「RUT241」から5Gの高速通信が可能な「RUTX50」まで、お客様のニーズに合わせた製品のご紹介が可能です。(技適承認済み/承認申請中の製品がございます)