概要
✔ 本事例で取り上げる「Smyze」社は、スイスを拠点に、ロボティクス・IT・飲料テクノロジーを融合させた国際的なエンジニアチームによって設立された企業で、B2C向け飲料販売にイノベーションをもたらしています。
✔ 同社が開発した「Robobarista(ロボバリスタ)」は、人の手に匹敵するクオリティでドリンクを提供できる完全自律型のロボットで、自動化によって高い生産性を実現しています。
✔ このロボットに組み込まれた数百の産業用コンポーネントをつなぐ中核的役割を果たすのが、テルトニカ製の産業用LTEルーター「RUT360」。LTE Cat 6による高速通信に加え、柔軟性・安定性・リモート管理機能も備えています。
課題 ― 飲料業界における品質と多様性のジレンマ
飲料業界は、すでにさまざまなテクノロジーに支えられています。たとえばカフェでのWi-Fi提供から業務用コーヒーマシンの遠隔保守まで、IoTの進化は業界全体の効率化に貢献してきました。
その中で課題となっているのが、飲料提供サービスの自動化です。正直なところ、多くの市販のコーヒーや業務用マシンで淹れるコーヒーは、プロのバリスタが丁寧に淹れた一杯には遠く及びません。生絞りオレンジジュースの自動販売機の品質のほうがまだマシですが、他の飲み物も含めて全体的に味のレベルにはバラつきがあります。
そしてもう一つの課題は、多機能性の欠如です。たとえばコーヒーマシンでジュースを作ることはできません。この、一台で異なる種類の飲み物を提供できないという点が、人間のバリスタと機械の大きな違いでした。
そこで「Smyze」社は、コーヒーやジュース、その他の飲料を、バリスタが作るかのような高品質で安定的に提供できるロボット「Robobarista(ロボバリスタ)」を開発しました。このロボットは設置するだけで、まるでカフェやジュースバーのスタッフ全員を代替するような働きをしながら、一切の妥協なき品質の飲み物を提供できます。
もちろん、この仕組みは数百もの産業用パーツ、センサー、専用ソフトウェアによる高度な制御によって支えられています。そしてそれらすべてをスムーズに連携させるには、安定したインターネット接続とリモート管理の仕組みが欠かせません。
トポロジー
ソリューション ― 「1台で何でもこなす」ロボットの中核
「Robobarista(ロボバリスタ)」の開発チームは、ロボットに確かな通信基盤を持たせるために、テルトニカの産業用LTEルーター「RUT360」を採用しました。このモバイルルーターはLTE Cat 6に対応し、360度どこからでも安定した接続を可能にします。
この「RUT360」を、「Robobarista(ロボバリスタ)」のメインコントローラーと各種CPU、MCU、マイコンなどのコンポーネントとVPN経由のLANで接続します。このLANは、設置場所に応じて有線接続・Wi-Fi・モバイル回線のいずれかに対応可能です。
このLANは、「Smyze」社独自のREST APIを通じて、本社のシステム管理センターとのリモート通信にも利用されています。LTEルーター「RUT360」はコンパクトで堅牢なアルミ筐体を採用しており、どのような環境に設置しても柔軟に対応可能です。
またLTEルーター「RUT360」は、最大300 Mbpsの通信速度(キャリアアグリゲーション対応)に加え、産業用グレードの信頼性を備えており、「Smyze」社のVPNへの直接統合機能や、WANフェイルオーバー、ポートフォワーディングといった柔軟な機能が搭載されています。
このLTEルーター「RUT360」を通信の中核に据えることで、「Robobarista(ロボバリスタ)」は1時間あたり平均100杯のドリンクが提供可能になりました。メンテナンスコストや人件費を抑えながら、効率的な運用が実現しています。
この事例で使われた製品
RUT360キャリアアグリゲーションによりセルラー通信速度が最大300Mbps
802.11 b/g/n 無線アクセスポイント(ホットスポット機能搭載)
Backup接続に自動切り替えが可能
遠隔管理、アクセスとVPNサービス